【登場は2028年頃か】次期シビックタイプRは電動化してもブランド力と戦闘力を維持でいるのか

【登場は2028年頃か】次期シビックタイプRは電動化してもブランド力と戦闘力を維持でいるのか

 中国や米国市場においてバッテリーEV販売の勢いが鈍化し、100%バッテリーEV化を狙っていたボルボやメルセデスベンツなど主要な欧州車メーカーが電動化方針を見直す動きを取るなかにあっても、依然として電動化目標を守ろうとしているホンダ。ただ、電動化に際して不安なのが「シビックタイプR」だ。

 VTECターボだからこそという面もあるシビックタイプRであるのに、もしBEVになってしまったら、と考えている人は少なくないだろう。はたして、シビックタイプRは電動化してもブランド力を維持できるのだろうか。

文:吉川賢一/写真:HONDA

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ホンダスピリットが詰め込まれているシビックタイプR

 現行のシビックタイプR(FL5)は2022年9月に登場したモデルだ。先代のFK8までは英国で生産していたが、当該工場が閉鎖となったことで、FL5は埼玉県のホンダ寄居工場での生産となっている。

 エンジンは直列4気筒2.0L VTECターボで最高出力は243kW(330PS)、最大トルクは420Nmを達成、先代タイプRよりも10PS/20Nmのパワーアップを果たした。トランスミッションは変わらず6速MTのみだ。また時代の変化に応じて、ドライブモードセレクトを新たに搭載し、エンジン特性やパワーステアリングの操舵感、サスペンション(ショックアブソーバー)の減衰力、エンジンサウンドなども調節が可能となった。

 また、アクティブ・エキゾーストバルブ機構を採用しており、車外騒音法規を満たしながら、エンジン出力向上と迫力ある排気サウンドを両立。スピードメーターの表示上限は時速320kmだ。国内最高峰の箱レース、SUPER GT のGT500に出るホンダチームのベース車も、いまはこのシビックタイプRを採用している(2代目NSXは2023シーズンでGT500を終了)。

ローアンドワイドを強調し、圧倒的な速さと美しさを兼ね備えたシビックタイプRのエクステリアデザイン
ローアンドワイドを強調し、圧倒的な速さと美しさを兼ね備えたシビックタイプRのエクステリアデザイン

バッテリーEVになってしまうことは、「らしさ」をすべてはぎ取ってしまうようなもの

 ホンダとしては、シビックタイプRのように知名度があって、ファンもたくさん存在して、高くても売れるモデルを廃止する考えはないだろう。ただホンダは、「2040年にグローバルでのEV/FCEVの販売比率100%」を目標としており、シビックタイプRであっても例外とできるわけがなく、このまま純ガソリン車で販売が継続されることはないと考えられる。

 ただそうはいっても、2.0LのVTECターボエンジンと6速MTを駆使して走らせる、往年のホンダらしさが溢れるスポーツカーであるシビックタイプRがバッテリーEVになってしまうことは、「らしさ」をはぎ取ってしまうようなもの。スポーツ向けのVTECターボ+ハイブリッドを開発してお茶を濁すという手もあるが、それでもファンは納得しないだろう。また、いまさらマイルドハイブリッドにするというのもイケていない。

先代タイプRの2.0L VTECターボエンジンの骨格をベースに、ターボチャージャー刷新などによって、最高出力は243kW(330PS)、最大トルクは420Nmを達成する
先代タイプRの2.0L VTECターボエンジンの骨格をベースに、ターボチャージャー刷新などによって、最高出力は243kW(330PS)、最大トルクは420Nmを達成する
迫力あるサウンドを奏でるシビックタイプRの3本出しのエキゾースト。排気の主流が通過するサイレンサーの中央配管には、アクティブ・エキゾーストバルブ機構を採用、車外騒音法規を満たしながら、エンジン出力向上と迫力ある排気サウンドを両立する
迫力あるサウンドを奏でるシビックタイプRの3本出しのエキゾースト。排気の主流が通過するサイレンサーの中央配管には、アクティブ・エキゾーストバルブ機構を採用、車外騒音法規を満たしながら、エンジン出力向上と迫力ある排気サウンドを両立する

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