■背景
アラヤ(東京都港区)は脳研究を産業に応用し、業界に特化したソリューションを開発・提供しています。今回、本田技術研究所と共同で、運転手の脳活動を測定しそこで得られた知見から運転手に危険を知らせるシステムの効果検証を行いました。高齢化が進む中、運転ミスによる交通事故を防ぐことは大きな社会課題となっています。そのためにはドライバーのエラーを最小限に抑える必要がありますが、エラーの元となる不適切な情報処理に関係する神経機構はわかっておらず、また運転中の脳活動の計測は技術的な課題がありました。
今回、運転における様々な研究を行ってきた本田技術研究所と共同で、運転中の脳内メカニズムを調べるために、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下QST)を実験のサポートとアドバイザーに迎えて機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)に対応した運転シミュレーターを活用し実験を行いました。
fMRI内で利用可能な実験用運転シミュレーター
■実験内容
参加者にfMRI内で運転シミュレーターを操作してもらい、運転操作中の脳活動と視線を測定しました。安全運転に関してリスクの低いドライバー(リスクミニマムドライバー)と一般ドライバーのリスクに遭遇した時の脳の活動の差を抽出した際、楔前部と呼ばれる部分に顕著な活動の差があることがわかりました。
運動前野、一次視覚野など他の脳部位の活動を含めた結果から、安全運転に関してリスクの高いドライバーは空間認識力が低く、危険が見えていないため予測できないことがリスク要因であること、そして経験した記憶や知識を元にリスクを判断していることが示唆されました。
リスクミニマムドライバーとその他ドライバーの運動行動と認知行動の比較
リスクミニマムドライバーと一般ドライバーの脳活動の違い
実験で使用されたプロトタイプ運転シミュレータ
これにより、安全運転を目指す一般のドライバーも、安全運転にインスピレーションを与える情報処理支援システムを利用することで、より安全に運転をすることが可能です。
高齢化による運転能力の衰えから免許返納の潮流がある中、運転をやめることで認知機能が下がるケースも指摘されています。今後、多くの人が安全に楽しく運転できる未来を目指して開発を進めてまいります。
■代表取締役CEO金井良太コメント
「今回の研究結果では運転の上手い人と一般的な人との比較で、脳の楔前部と呼ばれる部分に差があることがわかりました。運転中の脳活動の計測が大きな課題でしたがホンダとQSTの共同研究によって、実験系を組み立てて、このような結果を得ることができました。この研究を進めるにあたり、ホンダのリサーチャーやエンジニアの方々の、モノをつくる上で人を理解していくという強いこだわりを肌で感じました。開発のためにここまで突き詰めて脳の実験をすることはほとんどなく、ホンダの製品はこのような深い知見から生まれてくるのだと、非常に感銘を受けました。今後も安全で楽しい運転を実現するために、ホンダが人の理解を押し広げていくと期待しております。引き続きアラヤでは脳領域の視点から、より良いものづくりを目指して共同研究をしていきたいと思います。」
本田技術研究所 先端技術研究所メンバー
本案件をはじめとして、アラヤではAIや脳研究のナレッジを活用したソリューション開発を承っています。お気軽にご相談ください。
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000049573.html
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