7月に発表されたパニガーレV4/V4Sに続いて、そのネイキッドバージョンであるストリートファイターV4/V4Sが発表された。
その名の通りのストリートファイターデザイン
2025年モデルのパニガーレV4/V4S、先に発表されたパニガーレV4/V4Sのエンジンと車体を基本的に受け継いでいる。フルカウルが取り外され、その代わりにコンパクトなヘッドライトカウルとウイングレットを備えたミッドカウルを装着し、パイプハンドル化されたことでその名の通りストリートファイターファイタースタイルに仕立てられている。ウイングレットは飾りではなく、270km/h時に約17kgのダウンフォースを発生するという。
ヨーロッパにおいてストリートファイターは非常に人気の高いカテゴリーであり、各メーカーからストリートファイターモデルが発売されている。しかし、純粋なレーシングマシンに極めて近いパニガーレV4/V4Sの車体とエンジンをそのまま使っているストリートファイターV4/V4Sは、ストリートファイターカテゴリーの中において最も過激なモデルということができるだろう。
モトGP譲りのデスモセディチストラダーレを搭載
エンジンはパニガーレV4/V4Sに搭載されるデスモセディチストラダーレで、DOHC4バルブV型4気筒の1103cc。このエンジンは当然ではあるがユーロ5+の排出ガス規制をクリアしており、逆回転クランクシャフトやツインパルスタイミングを備えることで、モトGPマシンに搭載されているデスモセディチGPに非常によく似たサウンドを奏でる。先代からカムプロファイルが変更されてリフト値が高くなり、パニガーレV4Rに搭載されているものと同じオルタネーターとオイル ポンプ、スーパーレッジェーラV4で使用されているギアドラムなどが採用されている。
最高出力は214hp/13500rpmと、先代のストリートファイターV4よりも6hpアップしている。最高出力はパニガーレV4/V4Sよりも2PSダウン、最大トルクも12.2kgm/11250rpmと0.1kgmほど落ちているが、これは吸気口の違いによるもので誤差の範囲内と言える。ストリートファイターV4の燃料を除いた車両重量は191kgでパニガーレV4と同じであり、ストリートファイターV4Sは189kgでパニガーレV4Sの187kgよりも2kg重い。また、オプションのドゥカティパフォーマンス バイ アクラポビッチレーシングエキゾーストを装着することで、最高出力は226hpまで向上する。
パニガーレ譲りのフレームと両持ち式の中空対称スイングアームを装備
新しいパニガーレをベースにしたストリートファイターV4/V4Sのシャーシは完全に新しくなっており、フロントフレームは以前の4.42kgと比較して3.47kgと軽量化され、先代モデルと比較して横方向の剛性が39%低減させてバランスを再構築している。これによってバンク時の信頼性が向上し、コーナーの頂点を捉えて軌道を維持する際の効率が向上している。
さらに、新しく採用された両持ち式の中空対称スイングアームは、コーナー脱出時のトラクションと加速時のライダーの感覚を向上。このスイングアームは横方向の剛性を先代比で43%低減し、スイングアームと鍛造リアホイールアッセンブリーを合わせて2.9kg軽量化されている。
サスペンションはストリートファイターV4がフロントにショーワ製のフルアジャスタブルBPF、リアにフルアジャスタブルのザックス製を装備するのに対して、V4Sはフロントにオーリンズ製NIX-30フォーク、リアに同じくオーリンズ製のTTX36ショックアブソーバーを備える。V4Sのサスペンションはステアリングダンパーも含めて、オーリンズ スマートEC3.0コントロールシステムによって電子制御される。
ブレーキはフロントにブレンボのハイピュアモノブロックキャリパーを備え、ドゥカティがボッシュと共同で開発したコーナリング機能付きRace eCBSシステムを備える。このシステムはバンク角とリア荷重に基づいて、フロントブレーキが作動するたびにリアにブレーキをかけて、行動とトラックの両方でブレーキングフェーズでの荷重移動を制限してバイクの安定性を向上させる。
ホイールはストリートファイターV4が軽合金製5スポークタイプなのに対して、V4SにはデスモセディチGPのホイールにヒントを得た5本の接線スポークが装着される。この鍛造アルミ合金ホイールの重量はフロントが2.95kg、リアが4.15kgと非常に軽量に仕上げられており、バネ下重量を軽減することでさらに高い運動性を発揮することが可能となっている。
充実の電子制御システムと、新型ダッシュボードを搭載
ストリートファイターV4/V4Sが搭載するDVO(ドゥカティ ビークル オブザーバー)は、ドゥカティコルセがMotoGPで開発したアルゴリズムだ。70を超えるセンサーの入力をシミュレートして電子制御を調整し、これまでの量産車では前例のない効果を達成することができるようになる。この機能の精度により、コントロールはほぼ予測的に介入して、ライダーのニーズに迅速に対応して最高のパフォーマンスを追求することが可能になる。
このDVOを基軸として、ドゥカティトラクションコントロール DVO、ドゥカティスライドコントロール、ドゥカティウィリーコントロール DVO、ドゥカティパワーローンチDVO、エンジンブレーキコントロール、ドゥカティクイックシフト2.0 など、ストリートファイターV4/V4Sは完全な電子制御パッケージを装備する。
コックピットには新しく開発されたアスペクト比8:3の6.9インチダッシュボードが装備され、これはオプティカルボンディング技術によって反射を防いで視認性の向上が図られている。メーターのレイアウトは用途に応じて変更することができ、ビューモードを選択すると、タコメーターを右に移動して右の列を圧縮することで左にスペースを作り、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)、瞬間トルクと出力、横方向および縦方向の加速度値、瞬間傾斜角、スロットルとブレーキの操作などの利用可能なさまざまな機能を表示することができる。ロードインフォモードは中央に配置された円形のタコメーターが強調され、ギアが内側に表示される。画面の左側は、設定やナビゲーター(インストールされている場合)、音楽プレーヤー、スマートフォン、グリップヒーターの管理などが可能だ。トラックモードはデフォルトでレースライディング モードと組み合わされており、サーキットライディングで最も重要な情報に最大限の重点を置いたレイアウトとなる。タコメーターは画面上部に配置され、中央にはギアが接続されていることが表示され、右側には電子制御のレベル設定とその起動状態が表示される。左の列にはストップウォッチがあり、DDLアクセサリーを装着するかGPSモジュールを介して、ラップタイムをさまざまなスプリットタイム、ラップ数などを表示することが可能だ。
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