バッテリーが衰弱する原因「レギュレータ・レクチファイア」の劣化?

バッテリーが衰弱する原因「レギュレータ・レクチファイア」の劣化?

充電電圧をコントロールするレギュレータ・レクチファイアは、極めて重要なパーツである。新品バッテリーへと交換しても、バッテリーコンディションが今ひとつ良くなかった原因は、この電圧管理部品にありそうなのだが……… 果たして?

文/たぐちかつみ

新品バッテリー接続でも回転上昇と同時に見合った電圧上昇が……



バイクいじり好きならサーキットテスターは所有していたい。一般的なバッテリー端子電圧を測定する程度なら、カードテスターと呼ばれる安価な商品でも十分だろう。 



一般的に新品バッテリーの満充電状況と言えば、12.8ボルト前後とされる。テスターで端子電圧を測定して、12ボルト以下の場合は、バッテリーの減衰を疑おう。



エンジン始動しアイドリングが落ち着いてから端子間電圧を測定したら12.96ボルトを示した。エンジン回転を4000rpm以上に保ち、しかもヘッドライトを点灯しても、14ボルトに達しないのは、間違いなくおかしな症状だ。電圧制御されていない? 

レギュレータ・レクチファイアのマウント状況を疑ってみた



ヤマハV-MAXを始め、このモデルが開発された当時のレギュレータ・レクチファイアのアース回路を見ると、ボディアース結線が多いようだ。そこで、レギュレータ・レクチファイアとバッテリーアースを直接結線してみた。



レギュレータ・レクチファイアのマウントは左ステップブラケットの裏側にあるが、ステップブラケットを取り外すと、マウント締結部のフレームは真っ赤にサビていた。このサビは間違いなく導通抵抗となってしまったはずだ。



バッテリーのアース(-)端子とレギュレータ・レクチファイアボディをダイレクトに結線するアースィングコードを自作し接続してみた。効率良く電気が流れることで少しは充電量が回復したが、時すでに遅く、万全の充電状況は得られなかった。

導通判定では正常でもバッテリー端子電圧が上がらない



初期型V-MAXのレギュレータ・レクチファイアは、後に発売された国内仕様のV-MAX用サービスマニュアルに記載されている部品とは違っていたが、配線系統としては同じ考えのようだ。



マニュアルに記載されている端子間導通をテスターで確認すると、判定としては正常なのだが、現実的にエンジン回転を上昇させてもバッテリー端子電圧は14ボルト台へ上昇することは無かった。



各種電装部品を車体へレイアウトする際に、行き場が無いと言うか、置き場が無く、このような個所へレイアウトされてしまったのだろう?走行中のハネ石や雨水を浴び放題の位置にあるのが実にサビシイ。おそらくアース不良が問題なのでは?

ステーターコイルの立ち上がり交流電圧は60ボルトをマーク!



ステーターコイルから立ち上がる三相交流の配線を抜き取り単独にして、配線2本間を立ち上がる交流電圧を測定してみた。この作業によって、ステーターが〇か×かを判定することができる。悪者を見つけ出すのを優先した。



テスターレンジの交流250ボルトへセレクトして、配線2本間のAC立ち上がり電圧を測定してみた。すると、すべての配線間で60ボルト以上を出力していることがわかった。つまりステーターコイルのコンディションは〇だと考えられる。

POINT
 

 

  • ポイント1・電気テスターがあることで、ある程度の電気コンディションを理解できる 
  • ポイント2・ひとつの部品ばかりを疑わず、電気回路を理解した上で、関連部品の良否も判断しよう
  • ポイント3・アース回路には、配線による結線回路とボディ(フレーム)を介したボディアース回路がある 

 

 補充電済みバッテリーや新品バッテリーを搭載しても、しばらくするとエンジン始動時にセルモーターの回転力が低下し、エンジン始動不良に陥ってしまっていたヤマハV-MAX。以前にステーターコイルは新品部品へ交換していたようだが、亀裂が入っていたスターターワンウェイの修理後にエンジン始動しても、発電状況は今ひとつ良くなかった。満充電状況の12ボルトバッテリーの場合は、一般的に端子電圧は12.8ボルト前後で、V-MAXの場合は、エンジン回転2000rpmで14~15ボルトに達するとサービスマニュアルに記載されていた(バッテリーコンディションによって異なる)。

スターターワンウェイユニットの修理後、実際にエンジン始動し、テスターを使ってバッテリー端子電圧を測定してみると、2000rpm以上回しても、13.3ボルト弱程度までしか上昇していないことがわかった。過去にステーターコイルを交換しているとのお話しなので、一番疑わしき部品は「レギュレータ・レクチファイア」ではないかと考えられる。三相交流のステーターから立ち上がってくる3本の出力線間には交流電流が流れていて、交流を直流に整流した上で電圧制御しているのがレギュレータ・レクチファイアの働きである。本来なら、14~15ボルトあたりで電圧制御しているはずなのだが、バッテリー端子電圧の実測定で13.3ボルト程度にしか上昇しないことが確認できている。ちなみに、レギュレータ・レクチファイアには、アース回路をハーネス経由でバッテリーアースへ結線するタイプと、ボディアースを介してバッテリーアースへと結線するタイプがあるが、部品の締結部分にサビが発生するとアース不良になり、それが続いたことでレギュレータ・レクチファイアがパンクし、性能低下や機能不全に至っているケースは多い。念のため、締結部分に別途アース線を導きダイレクトアースとしてみたが、バッテリー端子電圧が正しい値に改善されることは無かった(若干は改善された)。

ユーザー情報によると、V-MAXや同年代のSRXは、このような充電系トラブルを起こしているケースが多く、それぞれ後期型でアップデートされた部品があるそうだ。新規購入する場合は、後期モデル用を利用するのが良いらしい。ちなみに、スターターから立ち上がる交流出力線間を測定すると、いずれも交流60ボルト以上出力しているので、バッテリーあがりの原因は、レギュレータ・レクチファイアにあると考えて正解だろう。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/472851/

バッテリーが衰弱する原因「レギュレータ・レクチファイア」の劣化?【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/472851/472855/

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