【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 749cc 141ps/12500rpm 8.6kg-m/10500rpm 車重166㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
【2001 GSX-R1000】750に1000を積むという発想の転換
1990年代終盤から2000年代にかけ、急速に盛り上がっていた1000ccクラスのスーパースポーツ。そこに「クラス最強&最軽量」のスペックで殴り込んだのが初代GSX-R1000。750の車体に1000ccエンジンを積むという発想の転換により、当時の最軽量SSだったヤマハYZF-R1より7kgも軽量な乾燥重量170㎏を達成。やはり当時のSS最強となる160psを発揮したエンジンはボア×ストロークをややロングストローク気味に設定(排気量も988㏄とやや少ない)。これはエンジン幅を750同等に抑えるための策だったが、結果的にライバルを上回る低中速トルクを発生。速いうえに扱いやすいというGSX-R1000のよき伝統はここからスタートしている。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 988cc 160ps/10800rpm 11.2kg-m/8500rpm 車重170㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=190/50ZR17
【2003 GSX-R1000】リッター最強の座を盤石に
当時のリッターSSは2年ごとの改良が慣例となっており、GSX-R1000も初登場の2年後にフルモデルチェンジ。メイン材をプレス→補強リブ入りの押し出し材に変更した新フレームを採用した車体は2kg減の乾燥168㎏となり、エンジンはFIやラムエア、排気デバイスの改良などで4psアップの164㎰に到達。フロントブレーキは従来型のアキシャル→ラジアルマウントへと変更され、ヘッドライトを横型2眼→縦2眼にするなどスタイリングも刷新している。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 988cc 164ps/10800rpm 11.3kg-m/8400rpm 車重168㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=190/50ZR17
【2004 GSX-R750(600)】歴代ナナハン最軽量機
前年に登場した1000のイメージを踏襲しつつフレームを専用設計。乾燥重量163kgは歴代GSX-R750で最軽量となる。エンジンは前モデルをベースにチタンバルブなどの採用でパワーアップ。ラジアルマウントキャリパーの採用も1000に沿った変更点だ。基本設計を踏襲しつつ599ccエンジンを搭載した兄弟車・GSX-R600も設定。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 749cc 148ps/12800rpm 8.8kg-m/10800rpm 車重163㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
【2005 GSX-R1000】GSX-R=最強を確立させた名機
圧倒的な性能を伸ばしつつ、より乗りやすく改善されたのが2005年型。シート~ハンドルバーの距離を40mm縮めてライポジをコンパクト化し、シート高を従来型より20mmも下げるなど、その進化は一見するとSSとは思えない方向。しかし、圧縮比アップやスロットルボディの拡大/インジェクターのツイン化などを行い、さらにボアを0.4mm拡大しリッターフルスケールの999ccを得たエンジンは178psに達し、最大トルクも0.7kgーm増の12㎏ーmに。しかも乾燥重量は166kgと、追いすがるライバルを数値的にも圧倒した。
GSX-R1000=リッターSS最速という評価を確立させた型式であり、「K5」と呼ばれる2005年型と、翌2006年の「K6」型は歴代でも名機の誉が高い。現行GSX-S1000系のエンジンはこの年式のGSX-R用をベースとしている。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 999cc 178ps/11000rpm 12.0kg-m/9000rpm 車重166㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=190/50ZR17
【2006 GSX-R750(600)】エンジン刷新で長兄を先取り
エンジンを完全新設計しバランサーシャフトを採用。さらに主要3軸の配置を変更、クラッチを上方移動しコンパクト化を図ることで、従来型と同じ1400mmのホイールベースを保ちつつスイングアームを35mm延長、後述する2009年型GSX-R1000を先取りした内容を持つ。エンジンの変更に伴いフレームも新設計。兄弟車GSX-R600も継続設定される。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 749cc 150ps/13200rpm 8.8kg-m/11200rpm 車重163㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
【2007 GSX-R1000】エンジン特性変更「S-DMS」搭載
歴代初となる2本出しマフラーを採用した2007年型。規制対応などで乾燥重量こそ6㎏増となったものの、吸排気ポートの拡大やインジェクター改良、ポンピングロスの低減などで最高出力は185psに向上し、さらに走行状況に応じてエンジンの出力特性を変えるS-DMSを初採用。新設計のフレームは部材すべてを鋳造化している。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 999cc 185ps/12000rpm 11.9kg-m/10000rpm 車重172㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=190/50ZR17
【2008 GSX-R750(600)】スタイリング刷新と電制強化
従来型の基本を踏襲しつつ、FIの改良やマフラーの大容量化、電子制御ステアリングダンパーやエンジン特性切り替えのS-DMS、バックトルクリミッターの採用など細部を改良。スタイリングもヘッドライトを縦2灯→横3灯とするなど改められている。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 749cc 150ps/13200rpm 8.8kg-m/11200rpm 車重167㎏(乾燥) タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
【2009 GSX-R1000】1000では初のエンジン完全刷新
初代から基本設計を継承してきたエンジンを完全刷新。ボア×ストロークをショートストローク化(73.7×59mm→74.5×57.3mm)し、クランク/メイン/カウンターの主要3軸を三角形に配置しつつ、カウンター軸とメイン軸の配置を入れ替えてクラッチを上方移動。前後長を短縮したこのエンジンにより、スイングアームを32mm延長しつつ、ホイールベースは従来型より10mm短い1405㎜を達成。歴代GSX-R1000で最も短かった2005年型と同値を得ている。もちろん車体は新設計で、フロントブレーキにはモノブロックキャリパーも採用。
縦型ながら横方向に広がったヘッドライトなど、デザインもより有機的な方向とされた。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 999cc 185ps/11500rpm 11.9kg-m10000rpm 車重203㎏(装備) タイヤF=120/70ZR17 R=190/50ZR17
【2011 GSX-R750(600)】ホイールベース短縮で8kgの軽量化
ホイールベースを15mm短く設定した上で、外装部品やフレーム、足回り、電装系、マフラーなど、あらゆる部分で軽量化を推進。マスの集中によってコーナリング性能を向上させつつ、装備重量で先代比マイナス8kg(600は9㎏)の軽量化を達成した。エンジンも内部パーツの多くを新設計し、性能を向上させつつ2kg軽量化している。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 749cc 150ps/13200rpm 8.8kg-m/11200rpm 車重190㎏(装備) タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
【2017 GSX-R1000/R】モトGPノウハウ投入で
8年ぶりの刷新
リッターSSの人気は2010年前後から沈静化していくが、BMWなど海外勢の台頭や、2015年のヤマハYZF-R1に代表される電子制御の進化で新たな時代へ突入。これを受けてスズキも8年ぶりにフルモデルチェンジ。制動時の姿勢を安定させるモーショントラック・ブレーキシステムや、10段階から選択可能なモーショントラック・トラクションコントロールなどモトGP譲りの電子制御を投入。新設計エンジンもモトGP由来の可変バルタイ機構・ブロードパワーシステムを投入し、低中速域のトルクを保ちつつ197psを発生。サブタンク付きフロントフォークなどの上級装備を奢った上級グレード・1000Rも投入されたが、完全にサーキット指向のライバルと異なり、豊かな低中速トルクとしなやかな車体でワインディングも楽しめ、価格的にも手ごろという独自の立ち位置を築いた。歴代初となる日本仕様の設定(1000Rのみ)もトピックだ。

【主要諸元】水冷4サイクル並列4気筒 DOHC4バルブ 999cc 197ps/13200rpm 11.9kg-m10800rpm 車重203㎏(装備) タイヤF=120/70ZR17 R=190/55ZR17
【2026 GSX-R1000/R】規制適合&ウイングレット装備
2025年の鈴鹿8耐で発表されたばかりの2026年モデル。エンジンは基本設計を踏襲しつつも内部パーツを全面変更し、EURO5+排ガス規制に適合しながら耐久性やレースフィールドでの能力を向上。排気系も一新されてマフラーはロング&スリム化。車体は従来型を踏襲するが、カーボン製ウイングレットをオプション設定(指向地によっては標準装備)しダウンフォースを強化している。さらに電子系を統合制御するS.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)はより緻密化が図られ、IMUと車輪速センサーで車体姿勢を検出、コーナリング時に最適な加速ができるようトルク制御する「ロールトルクコントロール」を装備。トラコンやウイリー制御などの車体姿勢制御を「スマートTLRシステム」として連動させる。エリーパワー製のリチウムイオンバッテリーも採用された。他メーカーのリッターSSと異なり、サーキットとワインディング

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