【試乗】「MT-07」に乗る楽しさを、「Y-AMT」がさらに広げる!

 エンジンをかけるとアイドリングは1300rpmで安定。1500rpm辺りでクラッチがミートするが、これはアイドリングからスロットルをほんの少し開けた状態で、遠心式クラッチのようなタイムラグを感じずシャープなレスポンスを実現しているのが分かる。そこから少しスロットルを開けた3500rpmくらいから太いトルクが立ち上がり、ゴー&ストップの多い市街地で扱いやすい乗り味となっている。

 最初にATの「D」モードを試してみた。トルクが立ち上がる3500rpm辺りをキープしていても、サクサクとシフトアップしていき、トルク変動による姿勢変化がないままスムーズに加速していく。交通の流れに乗って走ることもでき、速さも充分でストレスは感じない。市街地でも4~5速をキープしているが、再加速する際もトルクの太さでモタつかず、急加速する際はシフトダウンする。パワーはいちばんマイルドな設定だが、ライダーのイメージから外れない走りを自動変速で実現しているので、かなり扱いやすい。ドコドコ感のある吸気音が聞こえるのも、ライディングする楽しさを盛り上げてくれる。個人的なシフトタイミングと実際のシフトチェンジの差異がほぼなく、スロットルレスポンスもマイルドで扱いやすく、クラッチ操作がなくてもスポーツモデルらしい走りを実現していて、「D」モードだけでオールラウンドに楽しめると思った。また、省略された「RAIN」の代わりとしても扱いやすいだろう。

 「D+」モードは各ギヤを高回転まで引っ張ってからシフトアップしていく。つねにトルクの太さが感じられ、スロットルレスポンスもクイックになり、よりスピーディに加速していく。「D」モードより1段低いギヤを選択する感じで、ATでスポーツライディングを楽しめるモードになっている。トルク変動も大きくなるので、マシン挙動はギクシャクしがちだ。

 MTの「STREET」は、ATの「D+」をマニュアル操作しているような乗り味に感じた。4000~6000rpmのトルクとスロットルレスポンスにダルさはないがシャープすぎず、低中速域でのスムーズな加速が市街地での乗りやすさとして感じられる、文字どおりSTREET向けの扱いやすさを実現している。

 「SPORT」はスロットル開けはじめから太いトルクが立ち上がり、レスポンスもシャープ。市街地では速すぎてギクシャクしがちだが、フルパワーの加速を味わうことができる、まさにスポーツライディング向けのセッティングだ。

 ATもMTもスロットルレスポンスとシフトチェンジにタイムラグがなく、ハンドリングも軽快なので、クラッチ操作がなくても走りにダルさを感じない。個人的にはハンドリングと体重移動に集中できるので、狙ったラインでコーナーをクリアするようなスポーツライディングがしやすいと感じた。さらにどちらのモードでも停止時には自動で1速までシフトダウンする機能は渋滞路で便利で、クルーズコントロールの装備は長距離移動がかなり楽になると思った。

 こうしたスポーティな走りと快適さの両立は、軽量コンパクトな車体によるところも大きい。ニーグリップしやすいタンク周辺の形状とコンパクトな車体はライダーとの一体感向上に寄与していて、少し硬さを感じる前後サスは荒れた路面ではゴツゴツした衝撃を身体に伝えてくるものの、軽い車重のおかげで底突きはせずに踏ん張ってくれる。サスストロークの収束は速いのでマシンの姿勢は乱されにくく、乗り心地はフラットで安定している。また前後ブレーキは制動力がすぐに立ち上がるが、ブレーキレバーのストローク量が多めなので効き具合をコントロールしやすく安心感がある。大型バイクビギナーやリターンライダーもマシンコントロールしやすく、スポーティな走りの楽しさを身近に感じやすくなっているのが「MT-07 Y-AMT」の大きな特徴と言える。

 「YRC」のモード選択とセッティング項目が簡略化されていたり、電源ソケットが標準装備されていないといった一面はあるが、ベースモデルの「MT-07」らしい軽快さを損なわず、そのスポーティな走りを「Y-AMT」が幅広いライダー層で扱えるようにしているメリットは大きい。スポーツモデルとして新たな可能性が感じられる「MT-07 Y-AMT」も、一度は乗っておきたいマシンだ。



インナーチューブ径41mmの倒立式サスを新採用。新設計フレームと合わせて剛性を最適化し、旋回時やブレーキング時の接地感向上に貢献している。



リンク式モノクロスリヤサスは、プリロードと伸び側減衰力の調整機能を装備。タンデムや荷物積載時の車体姿勢の変化に対応できる。

2025年型ヤマハMT-07 Y-AMT主要諸元

・全長×全幅×全高:2065×780×1110mm
・ホイールベース:1395mm
・車重:187kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒688cc
・最高出力:73PS/8750rpm
・最大トルク:6.9kgf・m/6500rpm
・燃料タンク容量:13L
・変速機:6速リターン
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=シングルディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:105万6000円

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/502604/

【試乗】「MT-07」に乗る楽しさを、「Y-AMT」がさらに広げる!【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/502604/502627/

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