コロナ禍の物流停滞や後の半導体不足によってバイクの新車供給が不安定になって久しいが、ついに新車供給が好転傾向にあることがわかった。また、新作のホンダCL250とカワサキ エリミネーターの受注が好調。新型の登場によって生産が再開された人気車GB350も供給が増える見込みだ。
こうした新車供給の安定により、高値安定だった一部の中古車価格が下落傾向となっている。人気バイクの新車&中古車事情を探ってみた。
文/ベストカー編集部、写真/ホンダ、カワサキ
【画像ギャラリー】人気バイクの現状を調査! レブルとハンターカブの中古価格が下落、エリミは供給に遅れが?(9枚)画像ギャラリーレブレ250は夏頃からフル生産で買いやすくなる見込み
本誌調査によると、大ヒットモデルであるホンダのレブル250、およびCT125ハンターカブの生産体制が好転するようだ。
レブル250は、部品供給不足や、排ガス規制対応の準備などの要因から、2022年に一時供給停止。その後、2022年12月に排ガス規制に対応した新型が発売され、順調に供給されていた。
4月のリコール対策で供給がストップしたが、夏ごろにはフル生産で遅れを取り戻し、販売が大幅に回復するという情報だ。
現行レブルは2022年12月に発売され、国内における年間の販売計画台数は1万7000台。昨年の販売台数は約1万台、2017年の発売から最もセールスが多かった2020年でも約1万4000台だっただけに、いかに本気の供給体制かがわかる。
なお人気モデルは出荷制限(販売店ごとの台数割り当て)があるのが普通だが、レブルにはなく、今後かなり買いやすい状況となるだろう。
また、中古価格も下落傾向だ。品薄で新車が入手しにくく、中古車に一時80万円近い値がついた(新車価格は61万500円)。しかし供給が安定し、5月には中古価格が平均60万3800円まで下落している。
125で一番人気のハンターカブは即納状態の店舗もアリ
原付二種(51~125cc)クラスのレジャーバイクを牽引しているのがCT125ハンターカブだ。2020年に発売され、2021年には約1万5000台、2022年には約1万1000台を出荷。スクーターを除けば同クラスでダントツの1位を記録し続けている。
2022年12月には、排ガス規制に対応した新型がデビュー。既に店によっては在庫も潤沢で即納状態だという。筆者も肌感覚として新車をバイクショップで見る機会が多くなった。
ホンダは同クラスのPCXも好調で、2023年1~5月の出荷実績では前年比165%と大幅伸張。シェアは74%と圧倒的だ(本誌調べ)。なおモンキー125は受注が一時停止となっている(2023年6月1日時点)。
ちなみにスズキが3月にバーグマンストリート125EXを投入し、5月単月では前年比394%もの伸びを示したが、それでもホンダのシェア(同月)は78%とむしろ伸びている。
新作CL250、わずか1か月で年間計画の半分=3500台を販売!
今年登場したブランニューではホンダのCL250とカワサキのエリミネーターが好調だ。
CL250はレブル250ベースの水冷単気筒を搭載するスクランブラー。5月18日の発売から1か月で3500台の受注に達した(ホンダモーターサイクルジャパン=HMJ調べ)。国内の販売計画台数は7000台なので、既に半分をクリア。年代構成は30代以下が半分を占めており、他のモデルに比べて若いライダーが占める割合が多いという。
今のところ出荷制限がかかっているが、こちらも増産によって制限が解除されることを期待したい。
復活のエリミネーターも好調ながら、供給に遅れが?
エリミネーターは、Ninja譲りの400cc並列2気筒を積むクルーザー。1980年代から存在してきた伝統の車名が約15年ぶりに復活した。
本誌調査によると、4月25日の発売から5月末までの登録台数は1050台。エリミの登場によって、2023年1~5月における251~400ccクラスの登録台数は、カワサキが前年比157%を記録し、シェアではホンダの34%を上回る35%となった。ホンダはCB400SF/SBが生産終了した影響が大きいようだ。
その一方で当面の間、エリミネーターは入手がやや難しくなりそう。情報筋によると「東西MCショーの反響から前倒しで4月に発売したが、その分、供給に遅れが発生。夏場は生産せず、10月頃から供給が再開されるのでは」という。
なお、カワサキ公式HPでは「現時点では、お客様からのご要望が入荷予定台数を大きく上回ることが見込まれており、弊社からカワサキ正規取扱店への納品が追い付かないことが予想されております。製品が入荷次第、順次お届けしてまいりますので何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます」とアナウンスしている。
GB350が7月から復活、ついに中古価格が下落へ
251~400ccクラスで躍進するカワサキに対し、ホンダも黙ってはいない。一時生産中止していたGB350が新型になって登場するからだ。
2021年に登場したGBは、新開発の空冷単気筒を搭載。雑味のない鼓動感やクラシカルな装いで人気を獲得している。2022年の販売台数では251~400クラスでブッチギリ1位の1万2000台を記録。レブル250の1万台を超える人気ぶりだったが、2022年11月から適用された新排ガス規制に対応せず、一時生産中止。ついに規制をクリアした新型が7月6日から発売される。
年間の販売計画台数は1万1000台。2021年の初代は計画台数3500台だっただけに3倍以上を誇る。また、同クラス帯のエリミネーターに対抗する意味でも、かなり力を入れて供給するだろう。
レブル250と同様、新車の供給が安定することで、高値安定だったGB350の中古車が一段と安くなる可能性はある。昨年は中古価格が新車を上回る80万円を突破していたが、現在は平均65万円台までダウン(STDの新車価格は55万円)。新型が潤沢に供給されれば、中古価格はさらに下落するだろう。
――新車が手に入りにくく、人気モデルの新車&中古価格にプレミアがついていた昨今。生産体制が安定し、いよいよ価格が落ち着くことを願うばかりだ。
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