人気のアドベンチャーバイクとは? ツアラーモデルとホイールサイズがなぜ違う?

 また、745cc・直列2気筒エンジン搭載のNC750Xをホンダは、「クロスオーバー」というジャンルに分類。さらに、998cc・直列4気筒を搭載し、2024年1月に発売された新型GSX-S1000GXも、スズキは「クロスオーバーバイク」と呼んでいます。

 

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NC750X

 

 これらも、スタイル的には、大型のフロントスクリーンなど、かなりアドベンチャーモデルに近いことは確か。では、なぜ差別化されているのでしょうか? 

 

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GSX-S1000GX(写真は欧州仕様車)

 

ホイールサイズがジャンルの分かれ目!?

 おそらく、これらモデルは、長距離ツーリングでの高い快適性という点ではアドベンチャーバイクに近いけれど、よりオンロードでの走りに振った味付けであることが考えられます。

 それが最も分かりやすいのが、ホイールの大きさ。

 例えば、ヤマハのテネレ700やホンダのCRF1100Lアフリカツイン<s>では、フロント21インチ、リア18インチを採用。また、電子制御サスペンションを採用するCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツESでは、最新モデルでフロントを19インチ化しましたが(リアは18インチ)、いずれも後輪よりも前輪が大きいサイズ設定になっています。

 

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テネレ700も、ホイールにはフロント21インチ、リア18インチを採用する

 

 ほかにも、前述したアドベンチャーバイクと呼ばれるモデルの多くが、前輪が大きく、後輪が小さいサイズのホイールを採用していることが多いのです。そして、こうした設定は、オフロードバイクの多くがそうであるように、悪路にあるギャップや凹凸を乗り越えやすくするなど、オフロードの走破性をより高めるためだといえます。

 一般的に、バイクで悪路を走る場合、前輪の径が小さいとギャップなどにはまりやすく、ひどい場合は前転してしまうこともあります。逆に、大きい前輪の方が、少々路面が荒れていてもハンドルが取られにくいなどのメリットもあります。

 特に、テネレ700やCRF1100Lアフリカツイン<s>などが採用するフロント21インチ、リヤ18インチというホイールは、オフロード競技用のエンデューロレーサーなどにもよく採用されるサイズです(モトクロッサーはフロント21インチ、リヤ19インチが多い)。

 おそらく、長年のトライ&エラーから、比較的長距離を走るエンデューロレースでの最適解として採用例の多い前後サイズなのでしょう。そして、それをオフロードも走る公道向けのアドベンチャーバイクにも採用。つまり、アドベンチャーバイクは、オフロードバイクにより近い性格を持ったモデルであるといえるのです。

 

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フロント21インチ、リア18インチのホイールを採用するCRF1100Lアフリカツイン<s>

 

スポーツツアラーなどが前後17インチを採用する理由

 対して、先述したスポーツツアラーやクロスオーバーバイクでは、多くのモデルに前後17インチのホイールを採用しています。

 これは、スーパースポーツやネイキッドなど、ロードスポーツモデルの多くが採用しているサイズ。舗装路での旋回性やブレーキ性能、高速道路など高い速度で巡航する場合の快適性などに優れているサイズとして、こちらも今では一般的となっています。

 そういった意味で、スポーツツアラーは、あくまでオンロードで走ることを最優先し、舗装路でより軽快なハンドリングや乗り心地の良さを追求しているといえます。

 

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スポーツツアラーのトレーサー9 GTは前後17インチホイールを採用

 

 なお、クロスオーバーバイクの定義ですが、こちらは、各メーカーでちょっと考え方が違うようです。

 例えば、NC750X。このモデルについてホンダは、ロードスポーツモデルとしてのハンドリングを維持しながらも、アップライトなポジションや大型フロントスクリーンなど、長距離ツーリングでの快適性を出すために、アドベンチャーバイクのスタイルを採り入れているといった感じのようです。つまり、ロードスポーツとアドベンチャーのミックスということで、クロスオーバーと呼んでいるといえます。

 また、GSX-S1000GXについて、スズキは性能面でも「スポーツツアラーとアドベンチャーを融合させた」モデルだといいます。

 GSX-S1000シリーズの高性能な998cc・直列4気筒エンジンを搭載しつつ、ツーリング性能を向上させる新技術と装備を採用したのがこのバイクです。

 特に、スズキ車で初採用となる電子制御サスペンションシステム「SAES(スズキ アドバンスド エレクトロニック サスペンション)」や、凸凹路面を検知し、サスペンションの制御量を自動で切り替えるスズキ独自のプログラム「SRAS(スズキ ロードアダプティブ スタビライゼーション)」などは、オフロード走行にも対応。これらにより、未舗装路での振動を抑えたスムーズな乗り心地と、オンロードでのダイナミックなスポーツ走行を両立するといいます。

 

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オフロードの安定性とオンロードでのダイナミックな走りを両立するGSX-S1000GX

 

 おそらく、前後17インチを採用するGSX-S1000GXは、オンロードはもちろん、例えば、フラットなダートなどでも高い走破性を持つといえます。対して、フロント21インチとリア18インチのテネレ700やCRF1100Lアフリカツイン<s>などは、よりハードな悪路走行にも対応。また、フロントが21インチから19インチとなったCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツESでは、よりオンロードの快適性をアップしているため、ちょっとクロスオーバーバイクに近づいた仕様になったといえます。

 

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フロント19インチ、リア18インチのホイールを採用するCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES

 

 ちなみに、カワサキがアドベンチャー/ツーリングに分類する前述のヴェルシス1000SEやヴェルシス650も、ホイールは前後17インチ。なので、どちらかといえば、スポーツツアラーやクロスオーバーに近いモデルであるといえるでしょう。

 また、これも先述したスズキのVストローム250も、同様に前後17インチのホイール。アドベンチャーの要素を取り入れたVストローム・シリーズのなかでも、オンロードでの快適性や乗りやすさを重視したモデルだといえます。

どんな道も走破できる幅広い対応力が一番の魅力

 いずれにしろ、アドベンチャーバイクは、どんな道でも走ることのできる幅広い対応力が一番の魅力です。長距離ツーリングはもちろん、例えば、最近人気のキャンプでも、アドベンチャーバイクに乗ったライダーを見かけることも増えました。

 キャンプ場には、途中の道がぬかるんでいたり、未舗装路のダート道があるところもありますが、アドベンチャーバイクなら、そんな道でも楽に走ることができます。また、オフロード走行のスキルとその気さえあれば、例えばハードな林道なども走破可能。

 こうした多様なタイプのバイク旅を楽しめるアドベンチャーバイクが、今後も世界的に高い人気を維持することは間違いないでしょう。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/381750/

人気のアドベンチャーバイクとは? ツアラーモデルとホイールサイズがなぜ違う?【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=381750

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