ホンダが50ccバイクを生産終了! 原付は排気量から出力規制へ! 新規格のPCXとかシグナスとか出るのか?

ホンダが50ccバイクを生産終了! 原付は排気量から出力規制へ! 新規格のPCXとかシグナスとか出るのか?

 別れは突然やってきた。ホンダが50ccバイクを生産終了すると報じられたのだ。いったいなんでそうなって、これからなにが、どのように変わるのか? 分かりやすく整理してみた!

文:ベストカーWeb編集部/写真:ホンダ、警察庁、Adobestock

■そもそもなんで50ccは消えるのか?

海外では50ccのスクーターはほとんど絶滅危惧種だ(Ralfik D@Adobestock)
海外では50ccのスクーターはほとんど絶滅危惧種だ(Ralfik D@Adobestock)

 そもそもなんでこうなったのか。それには2輪業界のグローバル化が絡んでいる。オートバイはコスト的な制約が強く、エンジンやフレームをグローバルに共用化することでその壁を乗り越えている。

 ところが50ccという排気量のエンジンは、いまや日本にしか存在しないガラパゴス規格だ(正確には欧州のモペッドがあるがほぼ自転車扱い)。つまり日本だけでしか売れないので量産効果が期待できず、1台あたりのコストが割高になるというわけ。

 そこへトドメの一撃が押し寄せた。それが令和2年排ガス規制だ。この規制は、現時点で世界一厳しい欧州のEURO5とほぼ同等の内容なのだが、こいつをクリアするには高度な技術改良を加えねばならない。当然、バイクの値段を押し上げてしまうわけだ。

 ところが、通勤や通学の重要な手段である原付スクーター(日本の2輪の4割以上!)は、おいそれと値段を上げるわけにはいかない。やむなく国土交通省は、令和2年排ガス規制の適用を、50cc(=原付1種)については3年間猶予すると決めたのだが、その期限が、2025年10月末に訪れるのだ。

■50cc原付の代わりに登場するものはなに?

警察庁が新基準原付と現行原付の比較テストを行った
警察庁が新基準原付と現行原付の比較テストを行った

 排ガス規制を猶予された3年の間、2輪メーカーは自工会や国交省、警察庁とも協力して、原付1種を延命させるための方策を考えぬいた。50ccというガラパゴスに陥らず、庶民の足をしての役割を実現するにはどうすればいいのだろう?

 出された答えはこうだ。100cc~125ccクラスのバイクをベースに、そいつのパワーを物理的、ソフト的に絞ることで「50cc相当」とする。つまり排気量ではなく出力でカテゴリーを決めるわけだ。こうすれば、各国で普及しているエンジンを使って日本の原付1種を作ることができる。

 実際に2023年暮れには、警察庁がこの方式で作った新規格の原付1種を多くのライダーに試乗してもらう試験も行われた。

 使われたのはPCXやリード、CB125R、スーパーカブ110といったホンダのモデルだが、出力上限を4kW(約5.4ps)とした以外はサイズも重さも125cc(=原付2種)相当のものだ。テスターたちの反応もおおむね良好であったことから、現在はこの方向で法改正を行う作業が進んでいる。

■トルクは規制がないから太くなる!

新基準原付はトルクが太くなるので乗りやすくなるという声もある(oliver0723@Adobestock)
新基準原付はトルクが太くなるので乗りやすくなるという声もある(oliver0723@Adobestock)

 ホンダは2025年5月に50ccバイクの生産を終了するというが、すぐに50ccバイクが買えなくなるわけじゃない。前述したとおり排ガス規制の期限は同年10月末だから、ホンダはその間の在庫消化も見越して、5月終了を決めたと思われる。

 当然法改正も2025年10月末をめどに行われるはずだ。税金やナンバーの色などはこれまで通りだが、決められた上限出力を違法に改造できないよう、主力抑制箇所を物理的に封印したり、ソフトウェア的な制御などが加えられる予定だ。

 各社がどんなモデルを出してくるかはまだ未定だが、ホンダからはベストセラースクーターPCXやスーパーカブシリーズの新規格原付の登場を期待したい。PCXなどは125ccのままだとやや重いから、多少の軽量化が図られるかもしれない。併せて格安の電動スクーターも登場するだろう。

 ちなみに新規格原付で絞られるのは最高出力だけでトルクは規制がない。このため新規格原付はトルクが太くなり、街中での取り扱いが楽になるという情報もある。新しい乗り物が登場するときはワクワクするが、新規格原付もぜひ楽しい乗り物となることを願いたい。

【画像ギャラリー】新規格原付のベースとなる原付2種のスクーターたちはこれ!(12枚)画像ギャラリー

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