YE DIGITAL(北九州市小倉北区)が提供する「スマートバス停」が、京成バスがめざすバス営業所から遠方にある高速道路などへのスマートバス停導入に向けた実用性の検証のため、同社が運営管理するバス停で2023年8月より設置が開始される。
文/一部写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■首都圏では初……か?
実証実験とはいえ首都圏では初導入となるだろうスマートバス停は京成の本社がある千葉県市川市の本八幡駅に設置される予定だ。設置予定のバス停は本八幡駅1番のりばで、特に利用者の多いバス停である。
始発のバス停だが鉄道からの乗り換え利用者が多く、すぐにバス待ちの行列ができてしまうので、大空港でのバスのりばのように行先別にレーン分けされている。
そんな大規模バス停なので電源が必要ながら動画を流したりや表示情報の逐次更新ができるタイプAかと思いきや、なんと電源不要でポールに直差しができるタイプDが2段で設置されるようだ。
これでは多くの利用者が見るのにさぞ不便で、あまり役に立たないだろうと思っていたのだが、そうではない。ちなみにタイプDの電源は乾電池で、商用電源は必要ない。
内蔵された無線通信機器を駆動させるだけのバッテリーだけでいいので乾電池で数年は持つ。時刻表を表示中はいわゆる電子ペーパーなので機器としてはスリープ状態になり電源は必要ない。
■ターゲットは高速道路を走るバス!!
京成バスが狙っているのは、高速道路本線上のバスストップのようだ。ダイヤ改正ですべての本線上バスストップの時刻表を差し替えるためには上下線それぞれのバスストップに行って作業をしなければならない。
荒天で運休が発生する場合は、その都度営業所の職員が走り回ることになり、人的にもエネルギー的にも相当なものを費やすことになる。そこで高速バスストップでは広告等は不要なことから時刻表と運休や遅延のお知らせさえ、きちんと正確に表示できれば良い。そこで今回の実証実験となったようだ。
■実証実験はスムーズな動作の最終確認のため
そのような事情で今回の実証実験は乗客の利便性を実証するためのものではなく、遠隔でキチンと意図した情報がバス停に表示されるかどうかの実証と言える。実際に設置されれば営業所から離れた場所なので確認のために見に行くわけにもいかず、実証実験で動作や耐久性を確認しておこうという意図だ。
よって、本八幡駅1番のりばを利用する多くの方にとっては「見えにくい」時刻表に思えるが、これは京成バスが変更されたダイヤや臨時のお知らせが表示されているのかを容易に確認できる場所である必要があり、なおかつ便数が多いバス停でも対応が可能である耐更新性も確認するものと思われる。
このような実証実験は高速バスストップが遅延や運休等の臨時情報が流れる便利なバス停に生まれ変わる日が近いことを予感させてくれる。
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