バス運転士の待遇改善には事業者の利益を向上させるのが必須!?

バス運転士の待遇改善には事業者の利益を向上させるのが必須!?

 バスの運転士不足の問題について、歴史的背景や事業者側の問題、行政や国民が改めないといけない意識等について述べてきた。とはいえ多くの事業者が民間企業なので利益が出ないと話にならない。物価高騰の折、何をどう支援したら事業者収益が改善するのかを考えてみた。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージで本文とは関係ありません)

■支出削減……燃料費を圧縮せよ!!

写真はすべてイメージで本文とは関係ありません
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 EV車や燃料電池車でない限り、バスの原動力は内燃機関つまりディーゼルエンジンで、その燃料は軽油である。燃料費を抑えるだけでも収益は改善するだろう。もっとも数多くある項目の一つに過ぎないのは承知の上だ。

 軽油の販売価格は軽油そのものの本体価格に軽油引取税と石油税と消費税がかかっている。まず軽油引取税は地方税で、軽油本体価格とは関係なく1klあたり32100円が課税される。100リットルで3210円だ。軽油引取税は消費税の算出対象外の税金である。

 次に石油税だが、これも価格とは関係なく1キロリットルあたり2800円の税額で、100リットルあたり280円だ。そして石油税は消費税の算出対象なので、石油税を含めた価格に消費税10%が課税される。つまり税金に対してまた税金がかかる、これがいわゆる二重課税問題だ。

■具体的な計算方法とは?

不正軽油は問題だが二重課税も問題
不正軽油は問題だが二重課税も問題

 スタンドで支払う場合の計算は次の通りだ。軽油本体価格+石油税(2.8円/l)+軽油引取税(32.1円/l)+消費税(軽油本体価格+石油税の合計額に対して10%)が小売価格となる。

 税額が安いか高いかの議論は別にして、せめて軽油引取税だけでも軽減できれば相当な額になる。例えば1台あたり100リットルの消費で3210円の税額圧縮効果があるとすれば100台で321000が経費削減となる。

 1日平均で1台当たり100リットルの軽油を消費すると仮定すると、例えば延べ3000台が走り回る西鉄グループの場合だと1日で963万円の経費圧縮効果がある。

■免税軽油がある?

免税証の一例(熊本県)
免税証の一例(熊本県)

 この軽油引取税は道路維持を主な目的とした税のため、法律に細かい規定があるが鉄道や船舶の動力源として軽油を使用する場合は、道路とは関係ないので免税軽油を購入することができる。

 免税軽油とはいっても県税事務所等から免税軽油使用者証の交付を受け、これを提示するば軽油引取税は免税で購入できる。もちろん免税で購入した軽油を目的外で使用すれば脱税になる。

 都道府県により体裁は異なるが、概ね軽油引取税免税証はクーポン券のような形式で交付されるので、必要な分のクーポンと引き換えに免税軽油が購入できる。これを道路を使用しているとはいえ公共交通機関であるバス事業者に、法改正により例外として適用することができれば相当の経費を圧縮できる。

次ページは : ■バス会社がもうかれば税収は上がる!

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