古くから東急バスはシルバーを主体に赤い帯を入れた、遠くから見ても東急だと分かるカラーリングだ。ところが東急バスは走っていないほかの地域でも、何やら似たような色のバスを見かけることがある。
文・写真:中山修一
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■縁あっての同じ色?
なぜ東急ではないのに東急カラーのバスが走っているのか……該当するバス事業者は数社あるのだが、それぞれの社史を辿ってみると、ある共通項に辿り着く。
どの事業者も、過去に東急グループに入っていたことがあるのだ。グループ会社であるならバスの色を大元の東急に合わせても不自然ではなさそうだ。
その後、どの該当事業者も東急グループから離れ、別企業の傘下に入ったり独立したりする流れに乗っている。ただし、東急グループだった名残もしくは慣例で、カラーリングの部分だけシルバーと赤のまま使われ続けているわけだ。
2023年現在、車体色が東急カラーとほぼ同じ、もしくは良く似た配色のバス車両を運行している、東急ではない主なバス事業者として以下の4社が挙げられる。
■北海道の東急バスカラー
(1)宗谷バス
北海道・稚内市に本社を置く日本最北のバス事業者である宗谷バスで、シルバーと赤色の東急カラーの路線車が使われている。
宗谷バスは1959年から2009年にかけて、東急グループに入っていた経歴を持つ。同社の路線車は独自のカラーリングもあり、そちらは白地に赤い帯が何本か入れられたデザインとなっている。
一方で東急カラーの車両は、元々東急バスで使われていた車両を中古で購入したものが多い。この中にはシルバー+赤帯に青色のワンポイントを追加した、ノンステップ仕様で見られる配色の車両も含まれる。
元東急ということで、東京で走っていた路線バスが日本最北の地まで大移動して現役続行するという、距離的なギャップが大変興味深い。
(2)函館バス
北海道・函館市内とその周辺に路線バス網を広げる、函館バスも北海道で見られる東急カラーの代表格だ。函館バスは1957〜2003年まで東急グループの一員だった。
函館バスの路線車の大多数が、シルバーと赤帯の東急カラーに塗られている。一部シルバー主体ではなく、白地に青・赤・オレンジのラインを組み合わせた配色の車もある。
とは言えこちらも、東急バスの一部の高速車やトップドア車などに施されているのと同じカラーパターンのため、「東急カラー」であるのは変わらない。
函館バスの場合、元東急のバス車両を中古で購入して使用しているものと、新車で導入した、いわゆる「自社発注車」もあるが、いずれも色は東急カラーでほぼ統一されている。