バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」をお届けする。今回は季節の話題だが、季節との戦いと言っても良いだろう。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■夏はバスガイドにとって試練の季節
まもなく夏休み目前、いよいよ夏本番である。バスガイドも春の繁忙期が落ち着き、夏ならではの仕事も増え閑散期に入る。昨今は記録的な暑さが続いているが、実はこの季節はバスガイドや運転士など、乗務員にとって一年の中でも特に過酷な時期である。今回は、そんな「バスガイドの夏」の裏側をご紹介しよう。
梅雨の時期は、雨の中でトランクの荷物を出し入れするのが一苦労。しかし真夏になれば、その何倍も厄介なのが強烈な日差しである。今思うと、とても恥ずかしい話がある。基本的にバスガイドは「すっぴんで仕事をしてはいけない」と言われている。
しかし私はもともとメイクがあまり好きではなく、「人前に立つ仕事だからメイクをしなさい」という考え方も、正直今でも少し不思議に思っている。そのくせ、頑張ってメイクをすると「それ、メイクしたの?」と言われることもあり、それならやらなくても同じじゃないか?と、ますますやる気がなくなっていた。
もちろん、メイクをしないこと自体は仕事上ではあまりよくないが、プライベートなどで「メイクをしない」という選択肢は人それぞれでいいと思う。ただ、今となっては少なくとも日焼け止めだけでもしっかり塗っておけば良かったと後悔している。
何も対策をせず炎天下で仕事を続けた結果、20代後半になった今では顔にはシミが増えてしまった。せめて日焼け止め入りの化粧下地だけでも使っていれば違ったかもしれないと思うことも多い。だからこそ後輩たちには「日焼け止めだけは絶対に塗りなさい!」と、少々口うるさく伝えている。
■バスガイドは一日中太陽の下にいる?
「そんなに外にいることなんてあるの?」と思われるかもしれない。しかし、これが想像以上に多い。お客様をお迎えする際は、バスの斜め前に立って到着を待つ。予定より戻りが遅くても、その場で待機していることも珍しくない。
さらにトランクの荷物の出し入れ、誘導中旗を持って歩く時間など、屋外で過ごす場面は意外と多い。つまり、夏は一日中太陽とお友達なのである。そして、夏ならではの信じられない「あるある」を初回しよう。
冬はタイツだが、それ以外の季節はストッキングにパンプスが基本スタイル。ところがストッキングを履く前に足の甲へ日焼け止めを塗り忘れると、パンプスの形に沿って見事に日焼けしてしまう。私は毎年、自分の足を「カモメ」と呼んでいる。なぜなら、カモメは夏になると顔がだんだん黒くなるからだ。
■暑さとの戦いは車内でも
敵は日差しだけではない。気温そのものも大きな敵である。観光地の駐車場ではアイドリングストップのためエンジンをかけられず、冷房が使えない場所も少なくない。そんなバスの中で待機する時間は、まさに我慢大会である。
私は首に巻く冷感タオルやハンディファンを持ち歩き、熱中症対策として凍らせたお茶なども必ず持参していた。車内が暑い時は窓を開けて風を通したり、待機時間にはトランクを開け、その日一緒に乗務している運転士さんやガイドさんと他愛もない話をしながら暑さを紛らわせることもよくあった。
中にはエアコンすらない特殊車両もあり、水分補給とネッククーラーだけを頼りに案内を続けたこともある。視界が真っ暗になるほど体力を消耗しながら話していたが、今振り返ると「あの時、自分は何を話していたんだろう」と思うほど必死だった。


