全国に25,000以上あると言われるバス路線の中で、都府県境を越える一般路線バスとなれば、極端なまでに数が減る。そんな県境越えバスの様子を見に行くシリーズの第25弾目くらいに訪れたのは、2つの県が隣り合う富士山のお膝元を繋ぐ、富士急バス「A系統」!
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWeb内本文上とギャラリーに、富士急バスA系統の写真があります)
■鉄道のない最短ルートを繋ぐ公共の乗り物
静岡県の東寄りにある高原の町・御殿場市と、富士五湖と呼ばれる湖の中で特に有名な河口湖を擁する山梨県の富士河口湖町。
これら2つの町は直線距離で27kmくらいの位置関係にあり、途中の山中湖を経由しながら御殿場〜河口湖を直線的に繋ぐ国道を通って行き来ができる。
一方で直通型の鉄道はなく、電車で移動する際は各線を乗り継ぐ200km程度の大回りが必要となり、合わせて4〜5時間ほどかかる。
そういった公共交通事情も手伝い、御殿場〜河口湖間には県境を越えて直通する路線バスが何種類か運行しており、その中で御殿場駅〜河口湖駅間を結ぶ、高速道路を通らない普通の路線バスが、富士急バスによる「A系統」だ。
■ルート違いが2種類
上記区間のアクセス役を受け持つ富士急バスA系統には、途中で通る山中湖周辺のルートが若干異なる、A1系統とA2系統があり、前者が忍野八海経由(寄道型)、後者は北富士駐屯地入口経由(直行型)となっている。
A2系統は朝晩合わせて3往復のみで、A1系統のほうが本数が多い。大体1時間に1本くらいのペースでA1系統が出ているイメージだ。
また、御殿場〜河口湖間は観光需要が多く、最短ルートでアクセス可能な手段がバスの独壇場ということで、A1/A2系統ともに、同エリアを走る路線バスの中でも“主要”と呼ばれる特別な冠を乗せている。
■標高1,100mオーバーの山越え路線
富士急バスA1系統の経路を、御殿場発の方向で見て行くと、まずJR御殿場駅の隣にある御殿場駅富士山口の2番乗り場が始発。
バスが出発して駅前を後にすると静岡県道401号に入り、その後国道138→県道406→県道418(須走御殿場線)→県道150→県道151→国道138(ぐるり富士山風景街道/富士パノラマライン)号と推移していく。
2回目に入る国道138号上には籠坂峠が控えており、この峠道の頂上付近に静岡県と山梨県の県境が引かれている。
現地で取ったGPS測定値で、御殿場駅が標高465m、河口湖駅が857mと、端から端まで高所を走る路線となっているが、さらに山越えを行う籠坂峠付近は一気に高度を稼ぎ、公称値1,104m・測定値1,113mにも達する。
道がそつなく整備されているのと、特に標高の高い籠坂峠では、背の高い木々に挟まれている区間が中心で、遠景の立体感を掴むのが少々難しい印象。
そのため車窓から景色をパッと見るだけでは、それほど実感が湧かないかもしれないが、バスが通る道筋のジャンルを当てはめるなら、なかなか本格的な山岳路線ということになる。
籠坂峠の頂上を抜けて山梨県に入ると、国道138号が山中湖畔のT字路に突き当たり、そこを左折。国道138→ファナック通り→国道138→国道137→富士山駅前→国道137(御坂みち)を経て、終点の河口湖駅に達する。
走行距離が公称値36.9km、GPS計測値で37.5km。所要時間はダイヤ通りなら1時間30分となっている。全区間利用した場合の運賃は1,750円だ。







