縦に伸びる路線を横に進むだと!? この乗りバスが厄介すぎた!!

■ラクなのは最初だけ?

 常滑〜知多半田間は滞りなく横移動ができたものの、問題なのはここから先。知多と西三河の間を海が隔てているのだ。

 マップアプリを頼りにすると、知多半田から比較的近い距離に半田緑地公園というスポットがあり、そこの突端から橋か何かで、対岸の西三河に渡れるように見える。

 ここを路線バスが通っていてくれれば至極話が早い。ところがいくら調べ倒しても、路線バスのロの字すら走っていなかった。対岸の西三河エリアで最も近隣の駅は名鉄三河線の碧南駅になる。

 知多半田駅から半田緑地公園経由で碧南駅まで向かった場合、約6.4kmの距離。バスが全くないため、この区間は脚力と相談だ。

 ただし、チートと言ってしまえばそうかも知れないが、ローカル路線バスのTV番組のロケではないのと、人間時にはおカネで解決するのも重要。半田緑地公園までの約3km分はタクシーを使い時短に勤しんだ。

 知多半田駅でタクシーをつかまえて、行き先を告げると「それどこだっけ?」と返されてしまった。もしかして半田緑地公園は地元でも極マイナーなのだろうか?

半田緑地公園にそびえ立つ無料の無人展望台
半田緑地公園にそびえ立つ無料の無人展望台

■え!? 橋じゃないの?

 タクシーで着いた先の半田緑地公園は誰もいない港湾地区にあった。無料で登れる無人展望台が建っているが、無料無人の宿命か建物は潮風を浴びて痛み窓も曇り気味で、中はゴミが散乱。

 外は外でアシナガバチの巣ができており、天気の良い日だというのに、そこはかとなく放たれる不気味さに耐えられず、そそくさと退散した。

 対岸まで橋がかかっているのかと思いきや、どこを見渡しても橋はない。対岸への移動方法がトンネルという事実に、マップアプリの段階では全く気付かなかった。

 名称は「衣浦トンネル」。このトンネルがちょっとユニークで、自動車用と徒歩・自転車用とで別々になっている。人道は地下11階まで階段を下り、海底トンネルを480m歩いて再度地上まで11階分上る。

知多から西三河への連絡手段は何と海底トンネル!
知多から西三河への連絡手段は何と海底トンネル!

■強力な助っ人現る

 トンネルを抜けて西三河エリアに移ると、ここから名鉄の碧南駅まで更に3kmほど歩く。港湾地区には無機質な空気感が漂い、無人に近く歩道などの設備が荒れていて、歩きだと何となく怖いのは全国共通かも……。

 1kmくらい進むと民家が建ち並び始め、サスペンス感を伴う徒歩移動が気楽なマチ歩きに変わる。大体30分で碧南駅に辿り着いた。

 現在の碧南駅は名鉄三河線の終点になっているが、その昔はさらに横方向に線路が延び、吉良吉田までつながっていた。

 2004年に碧南〜吉良吉田間が廃止された後に代替バスが走るようになり、名鉄バス運行によるコミュニティバス「ふれんどバス」の愛称で今日も続いている。

訪問当日の碧南駅前は工事中で、臨時のバス停が作られていた
訪問当日の碧南駅前は工事中で、臨時のバス停が作られていた

 昼間は大体1時間に1本のバスが出ており、それなりの気軽さで利用できる。碧南まで歩いてくればゴールできたも同然だ。

 碧南を出て約36分で吉良吉田駅に到着。距離にすると15kmだ。コミバスの一種ということで、割と長めの路線ながら運賃は200円と、大変リーズナブルなのが嬉しい。

■知らない方が幸せ!?なオマケ

 名鉄蒲郡線は1時間に2本の列車がある。ふれんどバスは名鉄三河線(海線)の代替バスゆえ、バスから電車への接続時間も程よい。

 蒲郡線に乗って横移動を続ければ、西三河エリアを出て蒲郡市が位置する東三河エリアへと抜けられる。

名鉄三河線の代替バスで名鉄蒲郡線に接続
名鉄三河線の代替バスで名鉄蒲郡線に接続

 縦に線路が何本も延びる場所を、横向きに移動しつつ抜けられるかの問題。愛知県の知多・西三河の場合、路線バス2本と歩きを組み合わせれば可能だと実践して分かった。

 ちなみに常滑駅を12:15に出て吉良吉田に着いたのが14:48。同じ時間にスタートして電車で縦に移動した場合、吉良吉田に着くのは13:55。

 距離的には横移動すると48.3km分のショートカットになるが、時間的には途中でタクシーを使っても縦移動に負けるという現実がオマケに付いてきた。

 「サンドイッチの中身は知らない方がいい」とは、こんなときに使うべき格言かと痛感しつつ、電車って速いんだな、と、つくづく思い知らされる結果でもあった。

【画像ギャラリー】常滑〜吉良吉田“カニ歩き”バス紀行(9枚)画像ギャラリー

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