国鉄・JRの鉄道線から転換されたバス路線「代替バス」が、全国で現在も活躍中だ。鉄道時代からどう変わり、最近はどうなっているのか……2021年にできた新しい代替バス・旧日高本線の実像に迫る後編!!
文・写真:中山修一
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■後継者になった歴史あるバス路線
2021年4月から鉄道線の廃止によって走り始めた、JR北海道の日高本線・鵡川〜様似間の代替バス。
鵡川〜静内間およそ51kmを道南バスが、静内〜様似間およそ60kmはジェイアール北海道バスが運行を担当。それぞれのバス事業者のトレードカラーから、前者は「緑」、後者が「青」の代替バスに分けられる。
「青」の代替バスにあたる、ジェイアール北海道バスが受け継いだ区間は、大昔の国鉄だった時代から存在していたバス路線の「日勝線(日勝本線)」をルーツに持つ。
日勝線は静内〜様似〜広尾を結ぶバス路線全体の名称で、国鉄監修の時刻表には鉄道の日高本線の欄に、列車と並べて静内〜様似間のバスの時刻が掲載されていた。
列車がない時間帯にバスを走らせる補完的な役割を担い、1950年代には広尾→静内全区間の通し便や、1980年代にも静内〜様似を直通する便があったが、その後は静内から約40km先の浦河周辺〜様似間に短縮されている。
現在の日高線代替バスは、国鉄の時代から今も同じ路線名のまま続く「日勝線」の、元々あった静内〜浦河の区間を復活させた形とも言える。
また、鉄道廃止後は日高地方を走る各路線バスを総称して「日高地域広域公共バス」とも呼ぶようになった。
■鉄道に増して便利に!?
静内〜浦河周辺までの区間は、日勝線のほか道南バスの便もあり、時間帯によっては浦河で道南バス/日勝線を乗り継いで、静内〜様似をバスで繋げることも可能。
直行と乗り換えを合わせて、その日のうちに静内〜様似をアクセスできるチャンスは、平日が下り10回・上り8回。土日祝が下り9回・上り6回となっている。
鉄道があった2014年頃の、同じ区間の定期列車本数は上り・下り7本ずつだったので、現在のほうが土日祝の上り便を除き交通至便が拡充した、とも取れる。
日勝線の直行便は平日上下5本ずつ、土日祝は下り5本・上り4本だ。静内→様似へ向かう場合、静内バスターミナル10:30発が最も早い直行の“初バス”になる。