■鉄道マニアが欲しがる逸品!
ところで、件のおしぼりは⽇清紡テキスタイルの「めんです」と、新ブランド「めんですS」だ。東海道新幹線のグリーン車に乗車すると配られるおしぼりと中身は同じものだ。実は鉄道マニアが欲しがる隠れた逸品で、使い捨ておしぼりとしては保水力も肌触りも抜群でかなりのクオリティを誇る。
リサイクル品も含めた100%天然コットン製だが、織っていないのでいわゆる不織布の一種だ。接着剤を一切使用せずに水流だけで綿の繊維を絡める製法で、織物のような使い心地を実現している。
■せわしくない行程
はとバスは関越自動車道から群馬県を目指す。途中どこにも寄らず、東京観光もせずに1回の降車休憩だけで昼食会場である「かやぶきの源泉湯宿悠湯里庵」に到着した。ここでは昼食と温泉入浴のためにたっぷり時間を取ってある。
足湯にチョコッとつかるのではなく、がっつり露天風呂を日帰りツアーで実現できているのが、ゆとりのある行程だ。がっつかない、ゆったり行程は身も心も余裕のあるバス旅にいざなう。
■いちご狩りへ!
続いて向かうのは、いちご狩りだ。先にトイレ休憩を兼ねて農園の大型の売店に立ち寄るが、果物や農産物がおどろきの安さで、また群馬県のお土産品も購入可能だ。多くの観光バスが来場していたが、スーパーハイデッカー車はさすがに「はとバス」だけで、誇らしげだ。
買い物と休憩が終わると、いよいよいちご狩りの農園に向かうのだが、記者は若干の不安があった。それはいちご狩りを行う農園は概ねハウス栽培のものだ。ということはハウスが並ぶいわゆる農道の先に位置する可能性が高い。
そうなると2.5m幅で全長12mの大型バスが入れるスペースはあっても曲がり切るのは難しい。この際、スパーハイデッカーの高さは関係ない。曲がれるのであればハイデッカーでもダブルデッカーでも条件はほぼ同じだ。
よって相当歩かされる可能性があるということが予想された。いくらホスピタリティ最高峰のはとバスとは言え、物理的に入れない場所には行けない。大型駐車場が国道沿いにでもあり、そこから徒歩で延々と歩いていくつもりなのか?
■今日一の技を見せつけられる!
果たして2車線道路を走っていたガーラスーパーハイデッカーは、中心線に向かい右に車体を振った。左にはこれから入るであろう1車線の農道が口を開いていた。まさかここに入るのか?と思う間もなく一度、目いっぱい右に振ったバスを今度は左に振り返す。
こうしないと後輪が脱輪してしまうからだ。こんなことは大型二種免許を持っていればイロハのイなのだが、実際の道路となると体に叩きこまれた車両感覚と長年培ってきた運転士の技が光るところだ。
そして狭隘路課題よろしく、切り返しなく左折、右折とバスを操り、農道の脇に一発駐車。プロなので当然とはいえ、改めてバス運転士の技に感服した。
■ガイドの情報は聞き逃すと損をする!
ガイドの案内には定評のあるはとバスだが、この便を担当したのはガイド課の鈴木亜也さんだ。トレーナー資格を持つ彼女のガイドは何気ない世間話のように聞こえるが、その中の情報は観光に限らずに普段でもかなり役に立つ。
ごく一例を挙げても美味しいいちごの見分け方はこれから食べるいちご狩りでは役に立つし、日常の買い物でも必要な情報だ。さりげない乗客への問いかけを含めたガイドの情報は、単なる観光ガイドを超えるお得な情報もあるので、一言一句聞き逃してはならない。
おかげで、甘くて美味しくジューシーないちごを30粒以上食べて、お腹いっぱいになってハウスの目の前に付けたバスに戻った。