乗り物に趣味目線で触れるにあたり、その車両などの特色を示す参考材料として、最高速度を引き合いに出すことが良くある。バスの場合もまた同様であるが、この最高速度を表す際、速さを定める基準を変えてみると、同じ車種でも違った結果が出て、ちょっとした興味を誘う。
文・写真:中山修一
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■基準その1:メーター上の最高速度
ここではバス車両に限定して話を進めていきたい。その車両の最高速度を知るための、極めてベーシックな手段といえば、運転席に付いている速度計(スピードメーター)を見ることだ。
一般路線バスでも高速バス/貸切バスでも、メーカーによって差異はあるものの、速度計に切られた限界値は、最近の車両なら大抵120km/h、140km/hあるいは160km/hのどれかだ。
単純に速度計の情報を基準にするなら、バスの最高速度は120・140ないし160km/hになる。ただしバスに限っては、速度計に記された限界値でも快適に連続走行できますよ、というニュアンスは殆どない。
出なくはないかも知れないが、ドライバーに相応な腕前が要求されるのと、速く走るために作られた乗用車の類とは大きく異なり、速度の限界に達するまで時間を要するハズ。
それ以前に、元来そんなスピードのまま乗客を乗せて走れるようには出来ていない、と考えるのが良さそうだ。
■基準その2:法律上の最高速度
ごく当たり前ながらも超重要であり、公道上における実際の最高速度となるのは法定速度だろう。標識等による速度指示がない道路で、バス車両が出して良い最高速度は、一般道で60km/h、高速道路で100km/hとなっている。
一般路線バスに使われる中型・大型路線車は、原則として高速道路での営業運転はできない。そのため路線車の現実的な最高速度は60km/hで決まりだ。
60km/h近くの速度で運行しているバスが実在するかと言えば、北海道のローカル路線バスなど、長い距離を走りつつ経路が国道みちなり(まっすぐ)の路線では、ほぼ60km/hピッタリで走行する区間もある。
一方の高速バスは、法律上100km/hで運行しても問題ないが、実際の営業運転時に法定速度ギリギリで連続走行する区間はそれほど多くはなさそうで、80〜90km/hくらいでの巡航が一般的な印象だ。