種類によって千差万別な公共交通機関の運賃。タクシー、電車、バスに乗り、金額が最初の4ケタ(大抵は1千円台)に達するまで、何キロくらいの距離を移動できるのだろうか。
文・写真:中山修一
(運賃にまつわる写真つき記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■とりわけ高級な公共交通・タクシーの場合
懐に余裕がないと、ついつい利用に憚りを感じてしまう公共交通機関の代表格といえばタクシー。雰囲気からして高額なオーラを放つこの乗り物が応えてくれる、千円分の移動可能距離から軽く調べて行こう。
最初の数km分が金額固定で、その後一定の距離ごとに運賃が上がっていくシステムは概ね全国共通。ただし具体的な距離と金額は地域によって細かく分かれている。
そのため「これ」という数値を割り出すのは相当難しいのだが、例えば東京都を例にすると、初乗り1,096mまで500円で、そこから先は255mごとに100円ずつ上がっていく。
時間刻みの運賃アップはカウントしないことにして、運賃が1,000円ちょうどに達した後も、金額が上がるまで254mほど余裕が残る。そうなると単純計算で最大2,625m進めるわけか。
ほか、北海道や四国・九州のタクシー運賃を見ると、設定金額の都合で運賃が1,000円ジャストにならない地域もあるが、どこも大体千円分で2,000m台の移動距離に収まるようだ。
■安く遠くへ行けそうな電車
次の対象が、タクシーとは正反対の性格を持った、それなりの安さで距離を稼げる電車。ここではJRに絞り、時刻表の後ろのページに載っている運賃表と最大の距離を照らし合わせてみると……
(1)本州の幹線:1,170円 70km
(2)本州の地方交通線:1,170円 64km
(3)北海道の幹線:1,130円 50km
(4)北海道の地方交通線:1,130円 46km
(5)四国:1,080円 50km
(6)九州:1,130円 60km
……といった具合。JRの運賃には1,000円ジャストの設定がないため、上記の金額が各線における千円台で最も安い運賃だ。やはりタクシーに比べると、かなり遠くまで行けるようだ。
■日本全国どこも一緒? 一般路線バス
続いて、高速道路を走らない一般路線バスの運賃をチェックしてみよう。路線バスの運賃はバス事業者ごとに異なるものの、国が管理しているものなので、そう極端な差はなく全国的にフラットな数値が割り出せるのでは、と見込んだ。
実際そうなのか、北海道、本州、四国、九州を走る路線バスのうち、運賃が4ケタ台に達する長めのバス路線を1系統ずつ選び、勝手に地域代表に据えてデータを抽出した。結果は次の通り。
(1)北海道 道北バス名寄線 名寄駅前〜塩狩 1,030円 53km
(2)奈良県 奈良交通八木新宮線 大和八木〜東佐味 1,060円 19.2km
(3)山口県 サンデン交通仙崎線 下関駅〜込堂 1,010円 26.5km
(4)香川県 大川バス引田線 高松駅前〜一本松 1,010円 32.1km
(5)長崎県 さいかい交通 板の浦方面 新地中華街〜田の頭 1,000円 39.5km
蓋を開けてみれば、予想に反してバラつきのありすぎる結果に!!
路線バスに乗って千円分で移動できるのは19〜53km……JRの運賃も全体で見ればこれくらいの開きはあるにせよ、まさか路線バスでここまで距離に差が出て、まとまりが付かなくなるとは思わなかった。
市街地走行中は運賃が据え置かれていたり、郊外に出て距離が伸びるほど金額の上昇具合が緩やかになったり、逆に一気に加算されていくケースもあったりと、バス事業者によって運賃の扱い方はマチマチのようだ。