電気自動車(EV)はガソリン車に比べてCO2排出量が少ないとされ、脱炭素社会の実現に大きく貢献することが期待されています。
ガソリン車の1km走行当たりのガソリン燃焼によるCO2排出量は約160gであるのに対し、EV1km走行当たりの電力消費によるCO2排出量は50~100gと大幅な削減が可能となります(注4)。
しかし、電力は一般に貯められない性質があり、電力消費に伴うCO2排出量(電力系統平均)は、太陽光発電が多く稼働する晴天昼間と、石炭火力発電が多く稼働する夜間では2倍以上の格差が生じることがあります。
このため、晴天昼間に充電するのと、夜間に充電するのでは、EV1km走行当たりのCO2排出量も2倍以上の格差が生じることがあります。従って、できるだけ再エネ比率の高い晴天昼間に充電するほうがEV利用のエコ度がより一層高まり、多くの環境価値が創出されます(注5)。
今般、株式会社電力シェアリングが取得した特許技術により、ガソリン車対比での環境価値に加えて、「昼充電(Day-Time-Charging)」のタイムシフトにより創出される環境価値を精緻に測定・評価し、NFTとして保有したり、これを第三者と取引することが可能となります。
また、今後、EVが国内外で広く普及していくことが予想されます。もし、全国の多くのEV利用者が例えば、午後5~6時などに一斉に充電を始めると、状況によっては、電力需給が逼迫し、電気料金が高騰し、停電発生のリスクが高まりかねません。
そこで、電力需給の安定化と電力システムの脱炭素化を共に実現するために、これまで埋没していたタイムシフトによる創出される環境価値を適正に評価し、「昼充電(Day-Time Charging)」を普及するための取組みを進めてまいります。
今後、市民生活や産業活動のあらゆる局面でのCO2排出量を測り、評価し、削減してネットゼロを達成することが求められており、脱炭素会計が新しいビジネスとして注目されています。そこで、当社は各種報道(注6)にあるように、2017年の創立以来積み重ねてきた知見や人材を基に、この特許技術を用いて、生活・産業全般での電力消費や再エネ・低炭素発電によるCO2排出量や削減量を、デジタルを活用してより一層公正に測定・分析・評価・取引する手法を、日本発の国際標準として、国際機関や海外のスタートアップなどと協力して世界に発信してまいります(注7)。
(注1)V2G(Vehicle to Grid):EVを動く蓄電池とみなして、EVに充電し、蓄えた電力を放電して電力ネットワークシステムに供給する仕組みです。
(注2)V2H(Vehicle to Home):V2Gと同様、EVに充電し、蓄えた電力を放電し、家庭で使用する仕組みです。非常用の電気として災害時にも利用可能となります。
(注3)なお、この特許は先に発表したトランジション・ファイナンスに関わる特許と同一のものです。現在、これに加えて3の応用特許を出願中です。
(注4)当社試算標準値。各種条件の設定により数値は変動します。製造・廃棄も含めたライフサイクルコストは考慮していません。
(注5)ただし、特定の発電所と相対で電力を取引する場合などはこの限りではありません。
(注6)「電力シェアリング、環境配慮のツアー移動中のCO2実質ゼロ」日本経済新聞(2021.8.13)https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74736260S1A810C2TB1000/
「電力シェアリング、農家の余剰電力を融通」日本経済新聞(2020.12.17)https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ1187P0R11C20A2000000/
「「CO2削減量」取引の初会合 ブロックチェーン活用 企業から期待の声」日本経済新聞(2018.5.25)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30999840V20C18A5X93000/
(注7)2023年2月20日から22日まで3日間にわたり開催されたアジア開発銀行研究所(東京都・千代田区)主催の国際会合(Workshop on Energy Transition from Coal to a Low-Carbon Future)において、当社代表・CTOが登壇し、本技術のアジア新興国への適用可能性について発表致しました。https://www.adb.org/news/events/virtual-workshop-on-energy-transition-from-coal-to-a-low-carbon-future
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000119617.html
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