路線バスの行先表示に結構な割合で添えられている数字や記号。あれにはどんな意味があるのだろうか。
文・写真:中山修一
■はっきり、わかりやすくが目的?
普段何気なく接している路線バスの数字や記号のことを、専門的には「系統番号」と呼ぶ。
路線バスは駅などの主要地を起点に様々な場所へ向かう。バス路線が1本しかなければ、行先表示に終点となる地名などを書くだけで良いが、路線の数が大量にある場合、地名のみでは複雑難解になってしまう。
そこで、地名とともに番号や記号などを併記して、バスが通る大まかな経路や目的地を把握しやすいように整理するアイディア=系統番号が生まれたわけだ。
■一体いつから始まった?
路線バスに系統番号が本格的に採り入れられたのは1940年代後半と言われている。バスよりも前、戦前から系統番号を使って行き先と経路の明瞭化を行っていたのは路面電車だ。
「系統」という言葉自体は、電車などの路線網全体のことを表す「運転(轉)系統」から来ている。系統番号を最初に始めたのはもちろん日本ではなく欧米だ。
系統を英語で表すと“System”になる。欧米発のアイディアを頂戴する際にSystemを直訳して系統になったのかと言えば、そうでもない。
英語圏において、路面電車やバスの系統番号のことを“Line number”や“Route number”と呼ぶのが普通で、“System number”や“BusToplaceableSystem number”のような言い回しはほとんどしない。「系統」は日本独自の表現と言えそうだ。
■系統番号はどう決まるのか
では、系統番号はどんな基準で決まるのだろうか。全国の路線バスの系統番号を見ていくと、事業者によって番号・記号の付け方が色々あると分かる。
路線ができた順に番号を振っていくのが最もシンプルであるが、目的地ごとに番号を変えたり、同じ目的地でも経路が違う場合は異なる番号を割り振ったり、エリアによって100番台や200番台のようにグループ分けしたりと千差万別だ。
115系統や30系統といった、数字のみで系統番号を表すものと、あ60系統やA51系統のような数字以外の文字記号を組み合わせているものも各地で見られる。
系統番号の表示方法も事業者ごとに異なる。系統番号を掲げる位置は特に決まっていないようだが、行先表示枠内の左側か右側のいずれかが多い。
また、行先表示とは別に系統番号のみを車体に掲示して乗り間違え防止に努める事業者もある。
そのほか、系統番号が表示できないタイプの行き先表示器が付いている車両では、貸切バスなどで使う団体名等を掲示する箇所に系統番号を差し込むパターンも存在する。
いずれにせよ、系統番号の決まり方や表示位置などは各事業者を個別に見ていく必要があり、なかなか奥が深い世界と言える。
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