2階建てバスの非常口は「穴」に秘密が? イザというときの緊急脱出方法を徹底取材!

知られざる2つ目の穴!

 そうはいっても宙ぶらりんの縄梯子でうまく降りることができるのは、経験のある人などだろう。バスの構造に詳しい元富士急バスの整備士で、現在はレゾナントシステムズに在籍する技術者がもう一つの秘密を教えてくれた。

縄梯子は不安定なので慣れていないと降りにくい
縄梯子は不安定なので慣れていないと降りにくい

 前述した2階席から1階席に降りる穴が1つ目だとすると、今回のヒミツの穴も脱出するためのものだ。実は縄梯子が使いにくい場合は、ボディーに互い違いに空いている穴を利用して、そこにつま先をかけて固定ステップとして降りることも可能なのだ。

ボディーの穴につま先を突っ込んで降りると安全だ
ボディーの穴につま先を突っ込んで降りると安全だ

 外から見ると確かに不自然な穴がいくつか空いているが、非常扉を開けてみると手すりを使い1歩目の足をかけると誰でも安全に降り立つことができる。

シートは倒さなくてもいい!

 路線バスタイプのバスの非常扉は、シートを前に倒してスペースを作ってから開扉するようになっている。アストロメガは高速車または貸切車として使用されるので、路線バスほどシートピッチは狭くない。

 よって非常扉はシートを倒さずに、この座席の人が座ったままで開けることができる。非常口扉に座った場合は航空機の非常口座席ではないが、事故や火災の場合はスムーズに脱出できるように周囲の交通と状況を的確に判断して操作しよう。

2階非常口は赤いカバーを開けると開扉レバーがある
2階非常口は赤いカバーを開けると開扉レバーがある

 ちなみに、行先表示器の記事でも触れたが、富士急系のバスにはレゾナントシステムズのLED表示器が搭載されていて、「緊急事態発生」のメッセージを外部に知らせることができるようになっている。

非常口扉は外側に開くので周囲は二次災害防止に努めたい
非常口扉は外側に開くので周囲は二次災害防止に努めたい

 このような表示を見た場合には、通報するのはもちろんだが、場合によっては非常扉が開けられる可能性を考えて、バスの右側を含む周囲を空けておくなどの二次災害防止措置に努めていただきたい。

もちろん使わないのが一番だが……

 非常扉などは使わないに越したことはないし、使う機会が来てほしくはない。しかし世の中に絶対はないし、人災であろうが天災であろうが巡り合わせの悪いときはあるものだ。

赤いカバーを開けると乗用車と同様のドアノブがある
赤いカバーを開けると乗用車と同様のドアノブがある

 生涯使うことはない無駄な知識になればそれに越したことはないが、知っておいて損はない知識のはずなので、いざというときにうろたえなくても済むように知識を持っている者が他の命も救うくらいの心の余裕を持ちたいものだ。

【画像ギャラリー】スカニア・バンホールの非常口はどうなっている?画像で確認!(7枚)画像ギャラリー

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