名前は聞いたことあるけれど詳しくは分からない……そんな立ち位置のバスが全国各地にある。たとえば「しまなみライナー」はどんな存在なのだろうか?
文・写真:中山修一
■風光明媚な瀬戸内海を渡る高速バス
「しまなみライナー」は、広島県福山市と愛媛県今治市を結ぶ、中国〜四国地方の都市間高速バスだ。1999年開通・2006年に全通した、本州と四国を繋ぐ「しまなみ海道」を通ることから、しまなみライナーの愛称が付けられている。
しまなみライナーには、福山駅〜今治駅前/桟橋間の福山線と、広島バスセンター〜今治駅前/桟橋間の広島線の2路線がある。
複数のバス事業者が共同で運行しており、福山線では中国バス(広島県)、鞆鉄道(広島県)、せとうちバス(愛媛県)、しまなみバス(愛媛県)の4社が受け持つ。
一方の広島線を担当するのは広交観光(広島県)、せとうちバス、しまなみバスの3社だ。
■これがなかなかの人気路線なのだ!!
今回は福山線のしまなみライナーに注目することにして現地へ赴いた。高速バスゆえ事前に予約が必要なのかと思いきや、広島線は全席指定の予約制ながら福山線は不要、というよりも予約サービス自体を行っていない。
一般道のみを走る路線バスや短距離の空港連絡バスのように、出発時間までに乗り場へ行って待っていればそのまま利用できる。
本州側から愛媛県に陸路で直にアプローチできる貴重な公共交通機関だけあって、上下それぞれ平日12本、土日祝13本と、1〜2時間に1本くらいのペースで便が設定されている。
2023年2月の日曜日、14:00に福山駅前バスターミナルを出発する便を選んだ。福山駅前BTの3番乗り場がしまなみライナーの指定停留所だ。
20分ほど前に乗り場へ向かうと、すでに結構な数のお客さんが列を作っていた。時間が近づくにつれてだんだんと列が長くなる。この日たまたま四国へ向かう人が集中しただけかもしれないが、かなりの盛況ぶりだ。
出発時刻の5分ほど前に、白地にグリーンとピンクのストライプが入った高速車がやってきた。14:00の便を受け持つ鞆鉄道(トモテツ)の2016年式三菱ふそうエアロエースだ。
乗合高速バス仕様であるため、車内には整理券発行機や運賃箱、運賃表示器、降車ボタンなどが備わっている。トイレ付きなのが凄く安心だ。