■可能であるという結果は一応出た
山手線の駅は全部で30ある。電車が通っている駅間をダイレクトに結ぶ路線バスをわざわざ作っても意味がないため、駅すべてを順番通りに回るとなると、やはりバスを乗り継いで遠回りしたり、来た道を戻ったりするカ所が多々生じた。
駅前を通りさえすればバスを降りなくても構わないルールにしたものの、複数の駅を通るバス路線があまり設定されておらず、結局のところ1駅ごとにバスを降りないと次の駅に行けないケースがほとんどになった。
シミュレーションの行程中、実は歩いたほうが遥かに早そうな区間が結構あったりするが、「なるべく歩かない」縛りがある関係で、乗車時間1分以内でもバスがあるなら利用するようにしている。
徒歩移動の中では泉岳寺前>>高輪ゲートウェイ駅間の約350mと、東京駅八重洲口>>丸の内南口の約700m(改札を突っ切らない場合)だ。特に長い距離を歩くのが、同じ駅名を冠するバス停同士というのも不思議な感じがする。
■地図に描くとどんな形?
有名な家電量販店のコマーシャルソングの刷り込み効果か、山手線の線路全体を真上から見た場合、とにかく「まんまる」なイメージを抱きたくなる。しかし実際のところは真円状というよりも、牡蠣の殻みたいな形をしている。
この山手線の路線図に、沿線を走るバス路線の経路を重ね合わせてみると、山手線の外側と内側を壊れたミシンで縫ったようなギザギザの線を描く。
電車が通っていない箇所をフォローするのが路線バスの主な役割ということで、そうなるほうがむしろ正しいのかもしれない。
■気になるバス一周の運賃と所要時間
山手線を電車で一周した場合にかかる運賃は幾らになるかと言えば、最も安価なもので300円だ。
一度も下車せず一周してきてスタート地点だった駅で降りることは制度上できないので、スタート/ゴール地点に設定した隣の駅で一旦改札を出てから乗り直す方法を取る。
山手線内には、逆回りして隣の駅へ向かっても最短距離の運賃を適用する特例があり、スタート地点→隣駅までの往復の切符(パターンが何種類かある)を持っていれば一周して構わない。山手線の初乗り運賃150円×2枚=300円というわけだ。
結果的に「各駅停車」同然だったバス移動の要領で、各駅で電車を降りて改札を出入りした場合、150×30=4,500円かかる。
一方の路線バスであるが、行程中48回バスを乗り継ぐ。各路線100〜220円で、運賃を合計すると9,830円と結構な額だ。もうちょい安く行けないかと思案してみると、一日乗車券を駆使すれば2,560円程度まで圧縮できる。
一日乗車券は東急が520円、都営バスは500円である。何で2,000円台になってしまうのか……実はこのバス山手線ルート、1日では行けないのだ。
8時半頃に大崎駅を出発すると仮定しているが、浜松町駅に到達する段階で22時近い。次へ向かうバスは既に終わっており、これ以上は先に進めない。
電車の場合、最安運賃で行くと1時間ちょっとで一周できるところを、バスなら27時間12分、乗車時間のみで15時間26分と、ぜんぶ歩いて一周するより遅いんじゃないかと勘ぐりたくなるほど。
前述した縛りのせいもあるが、電車の代わりには絶対ならないというか、最初からそんな目的で使うようにはできていない、と思っておくのが良さそうだ。
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