旅客輸送の小型船舶操縦士は何が必要?
有償で旅客輸送を行う場合は自動車では二種免許が必要だが、小型船舶操縦士には「特定操縦免許」が必要だ。これは単独の免許区分ではなく一級や二級に付随する資格認定の扱いなので、特定操縦免許だけを取得するということはできない。
旅客を運送する遊漁船や小型の交通船(渡し船や小型クルーズ船等の旅客船)を操縦するための資格で、講習受講で取得することができ免許証にも「特定」と記載される。
特定操縦免許を取得するための講習を「小型旅客安全講習」といい、講習は1日で終了するが、がっつり丸1日をかけた内容の濃い講習だ。その内容のほとんどが海難事例によるケーススタディや海難発生時に必要な救助・救命措置であるが、自動車の二種免許学科教習にはない「サバイバル術」も教えられる。
海上ではパトカーも救急車も来てくれないばかりか、通信手段も限られさらに自分の位置も絶えず変化していることから、GPSで座標が分かっていて救助機関や他船に伝えることができても、救助に来る頃には潮に流されてそこにはいないということも起こりうる。
そこでしばらくの間は救命いかだ等でサバイバルをしなければならず、その方法や精神を座学とともに、地上に置いた本物の救命いかだに搭乗して体感する。
救命いかだにはサバイバルキットが搭載されており、キットの使い方も本物を目の前にして学習する。大型船舶に旅客として乗船していても海難に遭遇しない保証はないため、今でも受講してよかった講習だと思っている。
小型船舶操縦士(特殊小型を除く1級と2級)をお持ちの方は、特定操縦免許を取得すると免許証の有効期間がそこから起算され、更新講習を受けなくても新しい免許証が交付されるので、更新前であれば一度きりだが受けておいて損はない。
趣味なので実用的なメリットはないが…
さまざまな旅客輸送ができる免許や付随する資格を紹介したが、趣味で取得したものであって、関係する職業に就くことがなくても、取得後は安全意識や救命知識、周囲の交通を考えた運転や操縦をするようになり、個人差もあるのだろうが記者は趣味でも取得してよかったと思っている。
確かにお金も時間もある程度必要だが、趣味のためにお金や時間を使うのは、あらゆるヲタの特権だとも言えるので、思い立ってしまった方は「吉日」だとあきらめて取得に動いてみてはいかがだろうか。
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