大型二種免許の取得記事(プロの世界へいざゆかん! 最高峰免許大型2種取得は茨の道なのか!?)はプロ・アマを問わず各方面からの反響も大きく、良くも悪くも免許に対する関心が高いことがうかがわれる。
本稿では純粋に趣味として取得した旅客輸送のための免許や、大型二種免許に関係する免許について続編としてお届けする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】『続』プロの世界へいざゆかん! 大型二種免許以外の旅客輸送免許あれこれ(26枚)画像ギャラリー以前は申請だけで交付された動力車操縦者運転免許証
ご存じの方もいたようだが、大型バスでの有償旅客輸送に必要な大型二種免許を取得すると、2009年11月までは申請だけで鉄道の免許が取得できた。鉄道の運転免許証は動力車操縦者運転免許証と称し、自動車の運転免許とは違い所管は国土交通省だ。免許権者は地方運輸局長である。
鉄道とバスがいったい何の関係があるのかというと、バスのように振る舞っていても法律上は鉄道のカテゴリーに入る実質バスが存在するからである。
大型二種免許を取得すると動力車操縦者運転免許のうち、「無軌条電車」と「第二種磁気誘導式電気車」「第二種磁気誘導式内燃車」の各運転免許は申請だけで取得することができた。正確には申請することにより、試験の全部が免除され免許証が交付されるという仕組みだった。
無軌条電車とは、現在は立山黒部貫光の無軌条電車線(立山トンネルトロリーバス)でしか運行していないが、要するにトロリーバスのことで、ほかには案内軌条式鉄道として、名古屋ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)も無軌条電車として扱われるので、大型二種免許とともに無軌条電車の免許も必要だ。
この動力車操縦者運転免許には更新制度はなく、返納しない限りは生涯有効だ。2009年11月以前に取得した人は、既得権として現在でも有効な免許として扱われる。これは以前の普通免許を取得した人は下位になってしまう新普通免許ではなく自動的に中型8t限定免許として既得権が認められたのと同様の措置だ。
鉄道の運転免許の種類
バスとは少し外れてしまうが、本稿は主に運転系免許の話なので鉄道の運転免許についてもう少し述べておく。動力車操縦者運転免許証は普通は鉄道会社に就職して取得するもので、受験資格はあっても練習する場所もなければ車両もない上、試験場もないので現実的には就職しなければ取得は不可能だ。
免許証には「所属事業者名」という欄があり、ここには所属している鉄道会社名等が入る。大型二種免許を取得して、トロリーバスを運行する会社に所蔵していないのに無軌条電車等の免許証が交付されるときには、この欄には「無し」と記載され無所属で取得することになる。
一般的な鉄道の免許には甲種と乙種があり、甲種は鉄道事業法による鉄道と軌道法による軌道のうち専用軌道を走行する動力車、乙種は路面電車等の併用軌道を走行する動力車の運転に必要な免許だ。
さらにそれぞれには蒸気車、電気車、内燃車の区別がある。よって山手線や地下鉄で電車を運転しようと思えば甲種電気車の免許が必要ということになる。
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