新型ハリアーの登場で販売合戦はどうなるのか?
2020年1月~3月の登録車台数の推移を、表2に示す。どちらも、最終スペックの特別仕様車やお買い得仕様など、モデル末期に向けて、販売交渉が進められており、その結果も、ほぼ拮抗している状況だ。
新型ハリアーの詳細が明らかになったのは、4月13日のこと。この発表以降は、ハリアー購入を考えている顧客が、買い控えをすることが予測される。そのため、6月の新型発売開始までは、一時的に、ハリアーの登録台数が落ちると思われる。しかしながら、その後は一気に、ハリアーが販売台数を伸ばしていくだろう。
対するエクストレイルは、少なくとも6月時点で、次期型登場のアナウンスやデザインのチラ見せでもしておかないと、新型ハリアーとRAV4というトヨタの2枚看板SUVの前に、撃沈することは避けられない。
エクストレイルは、日産の国内販売において、唯一のミドルクラスSUVであるのと同時に、貴重な稼ぎ頭だ。エクストレイルの撃沈は、日産にとって、かなりの痛手となるはずで、まさに絶体絶命だ。
日産にも以前、「ムラーノ」という、ラグジュアリーなクロスオーバーSUVがあった。国内市場では、2代目で終了となってしまったが、北米では、3代目が続いている人気モデルだ。
もし今、ムラーノのような日本車離れしたスタイリッシュなデザインのSUVが、日産の国内ラインアップにあり、RAV4とハリアーのように、交互にモデル更新をすることができていれば、この絶体絶命の状況は、避けられていたかもしれない。
勝つために、次期型エクストレイルに必要な要素は何か?
エクストレイルのフルモデルチェンジは、2021年というのが最新情報だ。パワートレインには、念願のe-POWERが設定されるという情報がある。現行モデルの2.0Lハイブリッドに対し、車両価格が抑えられ、ワンペダル走行によるプレジャーが得られるなど、エクストレイルのキャラクターに向いていると、筆者は考える。
また三菱アウトランダーとプラットフォームやパワートレインを共用化することも考えられ、PHEVシステムを搭載する可能性もゼロではない。先進運転支援も、スカイラインに初搭載された「プロパイロット2.0」が、採用されるだろう。
こう並べると、次期型エクストレイルは、十分魅力的なクルマになるような気もする。しかし、これらを盛り込んだ「正常進化」では、次期型エクストレイルが、新型ハリアー/RAV4に一矢報いることはできないと、筆者は分析する。
次期型エクストレイルが、新型ハリアー、そしてRAV4に勝つためのヒントは、初代エクストレイルが登場したときのコンセプト「タフギア」にあると考える。あえて贅沢装備をはぎ取り、初代の「タフギア」というコンセプトに回帰し、「オフロード」指向のデザインに振り、徹底的に安い価格で提供する。
30万円もする標準ナビなどは設定せず、AppleCarPlayやAndroid autoが前提のオーディオディスプレイにするなど、トヨタが既に始めている作戦に倣うべきだ。「プロパイロット込で税込280万円」で出すことができれば、驚異的だろう。
まとめ
日産は、6月に、国内市場の復活の狼煙となりうる、コンパクトSUV「キックス」登場を控えている。じっと我慢をしてきた日産ディーラーの営業マンや日産車ファン、すべての関係者が、待ちわびていた瞬間を目前としている。
RAV4や新型ハリアーの活躍も、大いに期待しているが、ライバルである日産車がないと面白くない。「キックス」、「エクストレイル」、そして「アリア」。SUVが続々と登場し、ラインアップが整ったときの日産の反撃に、期待している。
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