■イレギュラーで生まれたような「奇跡のエンジン」は、本来、存在してはならない
GT-Rに限らず、このような匠による手組のエンジンが必要なスポーツモデルに求められるのは、安定した速さだ。「ばらつきが小さな奇跡のエンジン」というのは、聞こえはいいが、イレギュラー(不規則)の結果で、たまたま生まれてきた可能性がある。それではいけないのだ。
R35GT-Rでは、すべてのエンジンについて、品質確認と性能確認を行っており、完成したエンジンには、手組みの重責を担った証として「匠」のネームプレートが貼り付けられている。組立工として大変名誉なことである一方、責任も伴うため、いい意味でプレッシャーにもなっているだろう。
エンジンの手組みは、現代においては、すべてのクルマのエンジンに必要なものではない。しかし、顧客の要求に、真摯に向き合うメーカーとしての姿勢と、クルマに対するメーカーの熱い思いがうかがえる、手法なのだ。
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