■マツダは「魂動デザイン」の軽自動車がほしい!?
前述のように日本のOEM関係は「日産/スズキ/マツダ/三菱」と「トヨタ/ダイハツ/スバル」のグループに分けられる。
このなかで日産と三菱は、合弁会社のNMKVが軽自動車を共同開発。生産は三菱が行って日産にも供給する。スズキは三菱にソリオをデリカD:2として供給するなど、グループ内で個別のOEM関係を築いている。
トヨタのグループでは、トヨタとスバルが86とBRZを共同開発した。86や日産の軽自動車ではOEMという表現はしていないが、供給相手のブランド商品を自社で製造するのだから、それに準じた提携と考えていい。OEMでは供給する側がトクをするが、供給を受ける側にもメリットはある。
スバルやマツダはかつて軽自動車を製造していた時期があり、OEM車があれば、その乗り替え需要を守れるからだ。OEM車によって顧客の流出を防げる。
ただし初代CX-5を発売した後のマツダは、「魂動デザイン」と「SKYACTIV技術」に特化した商品開発で個性を強めた。
その結果、スズキから供給されるOEM車と、マツダ自身が製造する商品の隔たりが拡大している。マツダは2010年には約5万台のOEM軽自動車を販売したが、2016年は4万台を下 回った。損得とは意味が違うが、マツダがOEM軽自動車を扱うメリットは薄れている。
そして危ない橋を渡ったのがホンダだ。OEM関係を結ばず、薄利多売な軽自動車のエンジンとプラットフォームを新開発して、先代N-BOXを中心とするNシリーズを作り上げた。
先代N-BOXが大ヒットしたから結果オーライだが、失敗したら大損していた。Nシリーズのプロジェクトはきわめて挑戦的で、シビックタイプRなどよりも「ホンダらしさ」を感じさせる。
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