■価格競争を大切にする「質実剛健」なスズキ
スズキはこうしたリーズナブルなモデルを作るのに長けた会社です。
今をさかのぼること約40年前、当時の軽自動車平均価格よりも3割弱安い47万円という価格でアルトを販売したり、セルボの主要部品を流用しワゴンRを生み出したり……と市場が欲しているクルマを上手にそしてリーズナブルに作ってきました。
ひとつのモデルをベースに、さまざまなクルマに発展させていくという手法は、先日会長を退いた鈴木修氏がフォルクスワーゲンのプラットフォーム共用を見てそれを取り入れたとされています。
しかし、スズキはバイク作りを行って来たメーカーで、同じフレーム、同じエンジンに異なるデザインのタンクやカウルなどを装着して異なるモデルを作ることは当たり前のように行って来ています。そうしたベースがあったからこそ、マルチプラットフォーム化もスムーズに行えたのでしょう。
また、価格競争を大切にする姿勢もみられます。
プレミアムブランドと言われるクルマは、高価格を維持してそれにより利益を出すという手法を採ります。このため、イベントの開催や共催などをはじめとした、「クルマ以外のさまざまなアプローチ」を行い、そこに大量の資金をつぎ込む必要が生まれます。
しかし、スズキはそうした手法ではなく、宣伝活動においても地道にベタに行っています。周辺で掛かる費用は抑えながら、クルマに投入している資金を増やすという質実剛健さが伝わって来ます。
■結論「スイフトスポーツ」はやっぱり安くて楽しい!
ターボエンジン搭載のコンパクトハッチ、しかもMT、しかもピュアエンジンという組み合わせは、おそらくあとしばらくすると新車からは姿を消すことになるでしょう。今のうちにこのスイフトスポーツを買って乗っておくことはある意味チャンスと言えるかも知れません。
こんな楽しいクルマをリーズナブルに買えるチャンスがあるのは、定価でAE86を買えた世代と同じと言ってもいいかも知れません。そして30年間維持すれば価値も上がる可能性もあります(私は資産としてクルマを所有することにはあまり賛成しませんが)。
そして私が期待しているのは、たとえピュアエンジンが禁止になったとしても、スズキがそのアイディアと技術力でもって、リーズナブルで楽しいクルマを作る企業であり続けることです。おそらく、それは現実のこととなるでしょう。
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