北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第35回は、エゾシカの親子。今年生まれた子鹿を愛情たっぷりに育てるお母さんの姿をお届けします。
子鹿のことを「バンビ」と呼びますが、「バンビ」という言葉の元は、イタリア語の「バンビーノ Bambino=子供」で、オーストリアの作家・フューリックス・ザルテンが書いた童話「バンビ」が、ディズニーによって映画化され、世界的大ヒットしたことから始まったようです。
写真・文/佐藤圭
母鹿は子育ての間、群れから離れて単独行動
北海道の夏は、野生動物たちにとって子育ての季節です。
エゾジカも、6月から7月上旬に出産するので、夏の野山では子鹿を連れた母鹿の姿を見かけることが多くなります。
今回の山行では、かわいいバンビちゃんがお母さんに甘える微笑ましい瞬間を撮影できました。
エゾシカは基本的には群れで行動しますが、子供を産むときは、メスは単独行動になります。
集団で行動して子鹿を産むと天敵に見つかりやすいため、単独で行動し、危険が迫ると子ジカを草むらに隠して離れます。子鹿を守る戦略なのです。
しばらくは、親子で行動し、子鹿がある程度大きくなると、群れに戻ります。
この時期の子鹿はお母さんにベッタリです。お母さんは時折、子鹿の顔をなめて、顔に付いたダニや虫を取ってあげています。
子鹿はお母さんの行動を見て真似をし、食べられるものなどを学んでいきます。たまに冒険をしますが、すぐにお母さんに呼ばれてそばに戻ります。
エゾシカは、ものすごい勢いで数が増えているため、農業被害が多く、害獣駆除の対象になっています。
農家のみなさんが困っているのは理解していますが、こんなかわいいバンビを見てしまうと、複雑な気持ちになってしまいます。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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