「粋」なグレード名復活希望!! S13シルビアの一押しはQ’sだった理由

「粋」なグレード名復活希望!! S13シルビアの一押しはQ’sだった理由

 「史上最高のデートカーは何か?」と聞かれた時、アナタなら何を思い浮かべるだろうか? その元祖といわれるホンダのプレリュードとともに必ず名前があがるのは、ニッサンのS13シルビア。1988年5月のデビューから1993年10月の販売終了までの5年5カ月でシリーズ史上最高の約30万台を販売した不世出のデートカーは、いったいどんなクルマだったのか? ここでは、3つのグレードの違いを中心に改めて振り返る。

文/FK、写真/日産自動車、FavCars.com

【画像ギャラリー】S13シルビアはやっぱりダントツ「粋」だった!


日本中が好景気に沸いたバブル絶頂期に現れた“時代の寵児”

「粋」なグレード名復活希望!! S13シルビアの一押しはQ'sだった理由
先代とはうって変わって柔らかなボディデザインを持つS13は今までのシルビアファンにとっては衝撃だった

 激動の昭和が終わりを告げようとしていた1988年、未曾有の好景気に沸くバブル絶頂期に登場したS13シルビア。『アートフォース・シルビア』のキャッチコピーとともに5代目シルビアとして登場したS13は、均整のとれたクーペらしい美しいボディラインが人気となり、若者を中心に瞬く間に大ヒット。

 そのスポーツカーらしいビジュアルもさることながら、フロントエンジン・リアドライブの駆動方式も走りの楽しさをもたらした。デビュー当時は全グレードとも1800ccのCA18型直列4気筒DOHC16バルブエンジンが採用され、J’sとQ’sには135psの自然吸気を、K’sには175psのターボを採用。

 1991年に行われたマイナーチェンジでは全車2000ccのSR20型直列4気筒DOHC16バルブエンジンに換装。自然吸気は140psに、ターボは205psに出力が向上し、走りもよりパワフルさを増した。

 今の時代とは一概に比較することはできないものの、発売当時はJ’sが146万7000円、Q’sが155万6000円、K’sが188万6000円(いずれも5MT車)というリーズナブルなプライスで販売されていたのだから、売れない理由が見つからないのも当然といったところだろう。

J’sとQ’sは10万円弱の価格差以上に標準装備の内容に大きな違いアリ!

「粋」なグレード名復活希望!! S13シルビアの一押しはQ'sだった理由
J’sというネーミングはもっとも若者向けというイメージだったものの、あとちょっとの出費でワングレード上が手に入れられるという価格設定がネックとなり、不人気に

 ここで、改めてS13シルビアのグレード構成をおさらいしておこう。トランプのジャック、クイーン、キングを由来とするS13シルビアのグレードは廉価グレードのJ’s、中間グレードのQ’s、最上位グレードのK’sという3種類が設定された。

 いっぽう、デートカーとして最大のライバルとよく引き合いに出される「プレリュード」はSi、XX、XRなどといった味気ない名での展開。グレード名ひとつをとってみてもトランプからの引用したセンスの良さ、グレード名の発したときの響きの良さ、さらには“女子との話のネタになる”という点においてもシルビアは時代の潮流をつかんでいた……。このネーミングのセンスの良さも若者のココロをがっちりキャッチした理由といえよう。

 と余談はさておき、同じ自然吸気エンジンを搭載していたJ’sとQ’sを比較してみると、J’sは廉価グレードということもあって標準装備の内容がチープだったことは否めない。

 例えば、ドアミラーの折りたたみが手動式だったり(Q’sは電動式)、ガラスがクリアだったり(Q’sはブロンズガラス)、ウィンドウの開閉が手動だったり(Q’sはパワーウィンドウ)、オーディオがAM/FM電子チューナーのみだったり(Q’sはAM/FM電子チューナー&一体型カセットデッキにPROアコースティックサウンドシステム)、スピーカーが2個(Q’sは4個)だったり、Q’sに設定されていた電動スライドガラスサンルーフ・プロジェクターヘッドランプ・ハイマウントストップランプ付リアスポイラーといった女子ウケが良さそうなメーカーオプションが選べなかったり……。

 10万円弱の価格差であればQ’sを選ぶ、というのは当時の自然の流れだった。

次ページは : 一般ユーザーの人気を集めたのもメーカーが推したのも、なぜかQ’sだった

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