サニーは偉大な母だった!! 傑作あり、失敗ありのサニー派生モデル列伝

「サニー1600ツインカムVR」の見た目と中身のギャップに萌える(1988年1月発売)

サニーは偉大な母だった!! 傑作あり、失敗ありのサニー派生モデル列伝
VRとは「バージョン・フォア・ラリー」の略。つまり、ラリーのために作られたクルマということだ。しかし、見た目はかなりおとなしい

 1985年6月に発売された6代目サニーのラインナップに追加されたラリー競技向けの1600 ツインカムVRがデビューしたのは1988年1月。一見すると黒い樹脂製バンパーと鉄チンホイールを身にまとった冴えない4ドアセダンといった印象だが、その実はラリー競技向けを謳う1台だけあって、まさしく羊の皮を被った狼たる充実装備が満載されていた。

 まず、エンジンは120psの最高出力と14.0kgmの最大トルクを発生する1.6リッター 4バルブDOHC直列4気筒のCA16DEを搭載。駆動系にはダートや雪道走行中に片輪がスリップしても駆動力の配分を自動調節して直進安定性を向上するとともに、コーナリング時のタックインを抑制するビスカスリッターSDも採用されていた。

 さらに、ミッションも1速3.063/2速1.955/3速1.538/4速1.286/5速0.810の減速比に設定したラリー専用超クロスレシオ5速ミッションというこだりよう。VR(バージョン・フォア・ラリー)の名はダテじゃなかった!

RZ-1の意志を継いだ「NXクーペ」はタイムマシンだったのか?(1990年1月発売)

サニーは偉大な母だった!! 傑作あり、失敗ありのサニー派生モデル列伝
セクレタリーカーとして北米では人気だったが……。斬新なフロントマスクが当時は話題になったが、セールス的には期待に応えることはできなかった

 “タイムマシンかもしれない。”という謎めいたキャッチコピーのもと、7代目サニーのクーペモデルとして1990年1月に登場したNXクーペ。

 先代モデルのRZ-1が放った先鋭的なイメージからは想像がつかないほど愛くるしくてアイコニックなエクステリアが最大の特長だったが、それもそのはず! 実は、NXクーペは北米市場の女性ユーザー向けに企画されたもので、丸みを帯びた曲線的なスタイリングも日産北米スタジオ(NDI)がデザインを担当していたのだ。

 そんな影響もあって、北米で絶大な人気を博していたZ32型フェアレディZの面影も見られ、事実、ルーフが脱着可能なTバールーフ仕様も設定されていた。エンジンはユースフルな1.5リッターと1.6リッター、スポーティでパワフルな1.8リッターの3種類で、すべてに4バルブDOHC直列4気筒を採用。1.8リッターのType SグレードにはフロントビスカスリッターSDやハードサスペンションを標準装備するなど、走行性能にも重きが置かれていた。

ロン毛の江口洋介さんが出演したCMが印象に残る「サニールキノ」(1994年5月発売)

サニーは偉大な母だった!! 傑作あり、失敗ありのサニー派生モデル列伝
ベースとなったサニーのターゲットユーザーより少し若い世代をターゲットにしたクルマだったが、期待に応えることはできなかった

 2ドアクーペと3ドア・5ドアのハッチバック2種類が発売されたルキノは、8代目サニーの派生モデル。最初に発売された2ドアクーペは、あきらかに若者がターゲットだったことをうかがわせる江口洋介さん出演のCMがなかなかのインパクトを残した。

 いっぽう、クルマのほうはというと……きれいなラインで構成されたクーペスタイル、いつまでも運転したくなるコクピット、1人でもカップルでも快適なインテリアなどで“日産の新しいクーペ”を訴求したものの、今回紹介する他の4モデルに比べるとインパクトが小さかったことは事実。

 エンジンも低燃費が自慢だった1.5リッター DOHCのGA15DEとカジュアルなスポーツ性能がウリだった1.8リッター DOHCのSR18DEという2種類で少々おとなしめなラインナップだった。しかし、2ドアクーペの後に登場した3ドアハッチバックではVZ-R・N1なる過激な競技仕様車を発売するなどモデルライフは意外と長く、生産は2000年まで続けられた。

【画像ギャラリー】サニーの派生モデルは個性派揃い!

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