新型ランクル300は日本に本当に必要なのか? デカすぎじゃない…??

■ACC低速も驚くほど高性能

 それにしてもこのランクル、周囲の目がすごい。20~30年前はちょっと新しめのクルマに乗っていると好奇の目にされされるのは当たり前だったが、今の時代は「ド」のつく新型車に乗っていてもそれほどの注目を浴びることはない。

 ところがこのランクル、周囲のドライバーはもちろん歩道を歩いている歩行者からの注目度もかなりの高さ。とくに輸入のSUVに乗っている人はかなり気になるようで、メルセデス・ベンツGクラスのドライバーには何度もガン見されました。

ドライバーはもちろん、歩行者からもかなり注目されるランクル300
ドライバーはもちろん、歩行者からもかなり注目されるランクル300

 首都高に乗っていきなり渋滞だったのですが、普段の行いがいい私は別ルートを使って無事に……と思いきや、その先はやっぱり大渋滞。まずはACCの低速での使い勝手をチェックすることになりました。

 これがなかなかの高性能で、完全停止から30km/hまでを繰り返す渋滞路をしっかりとアシストしてくれます。完全停止時にすぐに先行車が走り出せばランクルも再発進してくれますが、電動パーキングブレーキが作動したような状態からはステアリングのスイッチをプッシュするか、アクセルペダルを踏み込む操作が必要です。

 条件がよかったのか? なんかのか? よくわからないのですが、比較的長い時間ステアリングから手を離していてもACCは作動状態のままでした。しかし、10回に1回くらいはすぐに「ステアリングを持って下さい」というようなアラートが出ることもあり、確実に長い時間手放しが平気ということではないようです。

 道路がクリアになってからのACCの性能もよく、速度の調整の仕方やレーンキープともに非常に上手。これだけの重量物を見事にコントロールする性能には感心です。

 700Nmというトルクは、ひと言でいえば「ハンパない」なのですが、高速道路巡航中からの追い抜き加速ではこのトルクがじつに気持ちのいいフィールを生み出します。ACC走行中にゆっくりめで走っているトラックに追いついたときなどに、車線変更を行えば何のストレスもなくスーッと追い越します。

 ACCを使わずに車線変更からのアクセルオンはかなりの迫力。2.5トンの巨体を揺るがせながらのフル加速は、想像を超えるものと言っても過言ではありません。

■200をはるかに超える乗り心地の向上

 そしてビックリするくらいに乗り心地がいいのです。ランクルの足まわりは80で前後コイルに、100でフロント独立になっています。100以降はとくに乗り心地が向上しているのですが、この300は先代の200をはるかに超える乗り心地のよさで、リヤが固定式のトレーリングリンク式サスであることを感じさせません。

 その乗り心地のよさを支えるひとつの大きな要因が18インチタイヤにあるといえるでしょう。ランクルの標準タイプのタイヤは18インチで、GRスポーツの名が付くモデルだと20インチにしそうなものですが、ZXは20インチにしながらもGRスポーツは18インチにとどめています。見た目よりも真の走りを求めた感があって、非常に好感が持てます。

標準タイプのタイヤは18インチ。見た目よりも真の走りを求めた感があって、非常に好感が持てる
標準タイプのタイヤは18インチ。見た目よりも真の走りを求めた感があって、非常に好感が持てる

 また、コーナリングについても非常に素直でいい印象。首都高のコーナーや高速道路のランプウェイ、ちょっとしたワインディングなどを走りましたが、どこも重量をものともしないしっかりしたフィーリングでした。

 もちろん、2.5トンもあるのでコーナーではどっしりした動きになりがちですが、それでも普通にそれなりのペースで走れてしまうのにはビックリです。

 郊外の狭い道路ではさすがに持て余すときもありましたが、よほど大きく、よほど押し出しが強く感じるのでしょう。狭い道ではこちらが寄せているにもかかわらず、対向車が待ってくれるのです。アルファードにも2回譲ってもらってしまいました。

 総走行距離156kmを走り、燃費は8.6km/h。WLTCモード燃費が9.7km/hなので、合計約2時間の渋滞と途中でDPFの再生があったことを考えれば合格点といえるでしょう。

ランクル300 内装
ランクル300 内装

 さてやっと表題の件。「果たしてこの新しいランクルは日本に必要か?」と言われれば、「間違いなく必要だ」と言えます。

 今回はオンロードでの試乗しか行えていませんが、その高いクロスカントリー性能は言うまでもありません。たとえば高速道路会社や電力会社の保守点検用車両としては絶対的なマルチパーパス性能を持つクルマが必要ですし、警察車両や自衛隊車両、また北海道で自然を相手にしている人達などランクルが必要な人々は、日本にもたくさんいます。

 視野を世界に広げれば、その輪はさらに広がります。

 トヨタのような総合自動車メーカーだからこそ作れるクルマですし、作らなくてはならないクルマなのです。

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