あのメーカーはどうなった? 日本市場から撤退したブランドたちの今を追う

鳴り物入りで登場も、日本では不発に……「サターン」

あのメーカーはどうなった? 日本市場から撤退したブランドたちの今を追う
特徴的なスタイルのサターン SC(1997年)。こちらは2ドアのクーペモデルで、4ドアのSLもラインナップされていた。日本国内でも販売

 1970年代のオイルショック以降、燃費に勝る日本車に押されていたアメリカのゼネラルモーターズ(GM)は、新たなイメージを構築すべく、新ブランドの「サターン(Saturn)」を1985年に設立した。

 大食いイメージのあるアメリカ車ではなく、よりユーザーと環境に優しいクルマ作りを目指したサターンは、販売戦略においても次々と新機軸を打ち出した。

 サターンのファーストモデルとして登場したSシリーズは、クーペのSC、セダンのSL、そしてワゴンモデルがラインナップされていた。ドアや外装には金属ではなく変形しにくい樹脂を使用するなどの新たな試みもあり、GMがこのブランドにかける意気込みを感じさせた。

 日本への進出は1997年で、「礼をつくす会社、礼をつくすクルマ」のフレーズで広告を展開。それまでの自動車会社にはないイメージのTV CMも話題になった。また、アメリカで好評だった来店客に過度のプレッシャーをかけない営業スタイルは国内でも高く評価された。

 国内で販売されたのは小型モデルのSシリーズのみだったが、従来のアメリカ車に対するイメージや、国産車への競争力、販売網の小ささが不利となって販売実績を残せず、2001年に、わずか4年で日本市場からの撤退を余儀なくされた。

 日本からの撤退後もアメリカとカナダで複数のサターンブランド車が継続販売されていたものの、やはり業績は思わしくなく、2009年のGM社経営破綻によってサターンブランドはあえなく消滅してしまう。

 印象的なイメージのTV CMが記憶にある人も多いだろうが、文字どおり記憶にのみ残るブランドとなってしまった。

クルマでは韓流ブームを起こせず? 「ヒョンデ(ヒュンダイ)」

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水素燃料電池車のヒョンデ NEXO(ネッソ)。水素燃料の充填に必要な時間は5分と短く、満タンなら約820kmという走行距離を誇る。日本国内での販売も予定される

 韓国屈指の財閥であった現代(ヒュンダイ)グループが1967年に設立した自動車会社が現代自動車。当初はフォード製モデルのノックダウン生産を行っていたが、やがて自社開発による自動車の生産も開始し、1975年には初の韓国製自動車を完成させている。

 設立からしばらくは東洋の無名自動車メーカーの地位に甘んじていたものの、徐々に開発力と競争力を高めていき、現在では世界的に知られるブランドに成長した。

 同社の主力モデルであったセダンのソナタは1985年に登場。当初は韓国内での評判も思わしくなかったが、改良が進んだ3世代目ソナタ(1993年)は、売り上げを伸ばしている。また、2000年発売のSUVモデル・サンタフェは、本場アメリカでも高く評価された。

 日本市場への参入は2001年からで、積極的なコマーシャル活動などを展開した。だが、国内外の強豪がひしめく日本の自動車マーケットにおいて後発の韓国メーカーが入り込む余地は少なく、営業成績では苦戦を続けた。これには製品の品質よりも日韓関係の悪化などが要因とも言われている。

 韓流スターの“ヨン様”ことペ・ヨンジュンをCMに起用して話題を呼んだサンタフェも、メーカーの思惑どおりに販売を伸ばせず、高級セダンのXG(韓国ではグレンジャー名で販売)も日本市場に受け入れられなかった。

 2009年には、業績不振を理由に日本の乗用車市場からの撤退が発表された。ただし観光バスの販売は継続され、こちらは好調な業績を残した。しかし、昨今のコロナ禍における観光需要の低下によって、2020年度の国内販売台数はなんとゼロという結果に。今後の巻き返しが注目されている。

 そして10余年の時をへて、2020年に日本市場への最参入が決定した。今回は販売車種と水素自動車と電気自動車に絞っての販売であり、次世代エネルギー市場における覇権の奪取が目的と思われる。

 これに伴い日本向けのウェブサイトもリニューアルされ、合わせて日本語での正式表記もこれまでの「ヒュンダイ」からより韓国語での発音に近い「ヒョンデ」に改められることになった。

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