ルイスのDRS疑惑の続編 と「ボクのクルマとは違う」発言のボッタスを検証した!


 ブラジルGPからの勢いはそのままにカタールGPでも速かったルイス・ハミルトンとメルセデスW12。突然のその速さにみんなもやもやしているはずだ。DRS開口部問題から動くフロントウィング、動くリアサスペンションやパワーアップしたエンジン。さらにボッタスは「ルイスのクルマはボクのクルマとは違う」と発言……。しかし外野が騒いでいるだけでFIAからは正式に違反とはされていないし、その兆候もない。元F1メカニックの津川哲夫氏にこのメルセデス謎の速さについて私的解説していただいた。

文/津川哲夫、写真/Mercedes-Benz Grand Prix Ltd,RedBull contents pool

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■カタールでもメルセデスは驚速! ハミルトンのブッチギリのレースとなった

 スターティンググリッドは、予選時の二重黄旗振動無視のペナルティで2番手から5グリッド降格ペナルティで7番手スタートのフェルスタッペン、そして同じく3グリッド降格のボッタスが6番手と波瀾含みの予感。

黄旗無視でグリッド降格を受けたマックス。前半5台を抜いて2位にあがり、ファステストを連発するがルイスに近づけず

 ハミルトンは盤石のスタートで、そのまま優勝へと突き進んだが、7番手スタートからのフェルスタッペンの最初の5ラップがこれまた凄かった。この5ラップだけで5台を抜いて2位に上がってしまい、彼も最後までこのポジションを維持。まさに最小限のダメージで済ますという、トップ2のど迫力に魅せられたレースであった……では話はつまらない。

 今回のカタールGPはトワイライトレース。シンガポールと同じく夕方から夜に入っての照明灯下でのレースで、なかなかファンタジックでナイスなエンタメ・レースだ。

 振り返ると前回のブラジル戦からF1チームとFIAの間にいろんな軋轢が生じていた。まずはブラジル戦のスプリント予選後に、ハミルトンのリアウィングのDRSの開口幅が規則の85mmをオーバーしていたことで予選失格となり、スプリント予選は最後尾からのスタートとなった。このペナルティに対してメルセデスのトト・ウルフは大きな不満を訴えた。これはアクシデントだ、レッドブルはこれまでにウィングの修理が許されたのに今回メルセデスは許されなかったと。

 さらにレースでのターン4で起きたハミルトンとマックスとのトップ争いで、マックスがハミルトンをコース外に押し出し自分も一緒にコースアウトした問題。メルセデスはマックスへのペナルティを期待したが、FIAは検討の必要なしと判断。この二つの問題にトトは、メルセデスがFIAに苛めを受けているといったニュアンスのコメントを出した。

 しかし、メルセデスはウィングに関してはこれ以上の反発をせず、マックスとの問題にはFIAに正式提訴して再検討を促した。

■表向きの話はここまで。実はこの事件の裏にはまだ続きがあった

 まずハミルトンのリアウィング問題は、単にDRSの問題ではなかったようだ、FIAはなぜメルセデスのリアウィングをアッセンブリーごと外してFIAの車検場に持ち込んでの検査をしたのだろうか?

 それは問題はDRSではなく、何とリアウィングのメインエレメント、つまりリアウィング自体が後方に沈み、それが85mm以上の隙間を作り出していたというのだ。そうならばフレキシブルリアウィングエレメントであり、これは違反ではないか。

 これを裏付ける事件が同じパークフェルメで起きていた。予選後フェルスタッペンがハミルトンのリアウィングに触り何かをチェックしていた。他の車体に触れることは禁止されていて、彼はペナルティの罰金を払うはめになってしまった。そう、彼が見たのはハミルトンのリアウィングの違和感だったのだ。

 こうなると辻つまがあう。しかし車検後メルセデスのウィングは返され、ペナルティはそのまま残り、違反問題は単なるマウントボルトの緩みによって生じた、不可避な事故として片づけられている。

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