EV比率を高めた新世代のPHEV
一般的なハイブリッド車はエンジンやブレーキ回生でバッテリーの充電を行うが、エンジンを動力にも使用し、さらにはブレーキで回収できるエネルギーもそこまでは大きくできないため、充電量の関係から車載バッテリーの容量には限界があった。そこで開発されたのがPHEV(プラグイン・ハイブリッドEV)だ。
プラグインの呼称どおり、PHEVでは外部電源から充電を行えるのが最大の特徴。車体には充電用のプラグが装備され、家庭用電源からもプラグイン充電が可能。このシステムの採用によって、プリウスPHEVはバッテリーのみで23.4kmまで走ることができ、燃費も1リッターあたり57kmと大幅な向上をみせている。もちろんバッテリー残量がない場合はエンジンだけで走行できる。
このように、従来のガソリン車を電動モーター&バッテリーで補うのがハイブリッド、よりEV(電気自動車)に近づいたのがPHEVと言える。PHEVのメリットについては前段で紹介したとおりだが、デメリットには車重の増加や充電設備を用意しなくてはならないことなどが挙げられる。
いったい何がマイルドなの? 新勢力のマイルドハイブリッド
近年になって注目されているハイブリッドシステムがマイルドハイブリッドだ。
このシステムは、本来エンジンの始動とバッテリー充電に使用する電動モーターを強化して走行のアシストに利用するもの。こちらのシステムをマイルドハイブリッドと呼称するため、従来のモーターのみでもエンジンのみでも走行可能なハイブリッドをストロングハイブリッドなどと呼ぶようになった。
マイルドハイブリッドの利点は既存の内燃エンジン車の小改造で完成させられること。モーター、バッテリーともにストロングハイブリッドに比べれば小さく、車内でも大きなスペースを占有しない。これはつまり市販の際のコストダウンにもつながるというわけだ。
実際、販売されるマイルドハイブリッド車の多くが、エンジンのみの仕様に+アルファ程度の価格に設定されている。
それでもさすがにハイブリッド車だけあって、燃費性能の向上は確実に得られ、マイルドハイブリッドとそうでないクルマの燃費には最大で10数%の違いがある。
例えばスズキ スイフトの場合、同じ2WDのRSグレードでは、市街地モードでの走行においてガソリン仕様の燃費は1リッターあたり14.8km、マイルドハイブリッド仕様は17.0kmと明確な違いがある。
マイルドハイブリッドの難点はストロングハイブリッドのような劇的な燃費向上が得られないこと。しかし、車体価格の上昇率はそこまで高くなく、それでいて燃費の改善によってガソリン代節約ができるのは魅力と言える。
発電機を背負った電気自動車? シリーズハイブリッド
日産のノート e-POWERで一躍脚光を浴びたのがシリーズハイブリッドシステムだ。走行時にガスを排出しないのが電気自動車(EV)のメリットだが、一定以上の充電時間が必要という点がネックになり、乗りたい時にすぐ乗れるというわけではないのが不便ではある。
現在は各地に充電ステーションも増えつつあり、この問題もいずれは解消に向かっていくが、現状では不便さが残るのも事実だ。
シリーズハイブリッド車で走行に使用するのは電動モーターのみだが、このモーターに電力を供給するバッテリーの充電は、車載されたガソリンエンジンで発電機を回して行う。つまり燃料タンクにガソリンが残っていればいつでも走行が可能になる。
また、エンジンを走行に使用しないため、常に最も効率の良い回転数でエンジンを回せる。これもまた燃費の向上に貢献する。
ノートe-POWERは、バッテリー残量があればエンジンを停止して完全EVモードで走ることもできる。だが、充電の際にはエンジンを回さなくてはならないため、これがガスを排出してしまうことになり、当然ながらガソリン代も必要。ノートe-POWERの実燃費は2WDのe-POWER Sで約37km/Lなので、ストロングハイブリッド車に対して大きなアドバンテージがあるわけではない。
ひと口にハイブリッドと言ってもさまざまなタイプがあるのをわかってもらえただろうか? 完全EV化に舵を切った欧州では、ハイブリッド車は“つなぎ”モデルという扱いになっているのも否めないが、まだまだ伸びしろのある技術なのは間違いなく、今後もより効率的なハイブリッド車が登場することを期待したい。
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コメント
コメントの使い方いろんな意味で残念な記事・・・