記録より記憶に残せ!! 強烈なデザインで日本車史に残った名車4選

いすゞ ビークロス(1997年~1999年)

やっちまったなぁ~!? 記憶に残りすぎる個性派グルマ
VehiCROSSは、Vehicle(乗り物)、Vision(未来像)、Cross(交差)を掛け合わせた造語で、クロスオーバーSUVブームの到来を予見していたような車名だった

 ビークロスは、1997年に登場したクロスオーバーSUV。まだこのジャンルが確立されていなかった時代に登場した、先駆けとも言えるクルマだ。

 イギリス人カーデザイナーのサイモン・コックス氏が手掛けたエクステリアデザインは個性の塊。ボディの下半分を無塗装のポリプロピレン樹脂パネルとするなど、とにかくクセの強いエクステリアデザインに注目が集まった。

 さらに、本革のレカロ製セミバケットシート、エアバック内蔵のMOMO製レザーステアリングを装備するなど、内装にもとことんこだわった。

 車両のベースはビッグホーンだったが、搭載する3.2リッターV6DOHCエンジンは、V6エンジンのバンク角の主流が60°や90°のなか、75°という特殊なものだった。

 また、4WDシステムには当時の最新システムだった電子制御トルクスプリット4WDが採用されるなど、走行性能へのこだわりもハンパなかった。

 いすゞのこだわり満載のこのクルマ、なんと標準仕様で295万円! このロープライスは驚きだ。しかし、セールスは伸び悩み、約2年で姿を消すこととなった。約2年間の国内販売台数は2000台弱だった。

 そして、生産終了の数年後にはクロスオーバーSUVブームが到来。ビークロスの誕生がもう少し遅かったら、いすゞの長寿ブランドとして生き残ったかもしれない。

日産 ジューク(2010年~2019年)

やっちまったなぁ~!? 記憶に残りすぎる個性派グルマ
優れた運動性能と高い走行安定性、快適な乗り心地とどれをとっても満足点の出来の良いクルマだったが、エクステリアに関しては、好き嫌いが大きく分かれたデザインだった

 2019年に生産が終了した、コンパクトスポーツクロスオーバーの日産ジューク。昆虫を連想させるような押し出しの強い顔面はインパクト大! 販売期間は約9年、それも一代限りで姿を消してしまったSUVだ。

 市場は活況を呈するいっぽう、「どれがどれだか見分けがつかない」と、没個性化が著しいと言われるSUV。そのなかで超個性的なフロントマスクを擁するジュークは、ある意味、没個性化へのアンチテーゼと言っても過言ではないクルマだった。

 世界初のデュアルインジェクターを採用した1.5リッター、改良型の直列4気筒NAのHR15DEエンジンを搭載、さらに2010年11月には、新開発の1.6リッター 直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載した16GTが追加に。

 また、4WD仕様の16GT FOURには、左右後輪のトルク配分をそれぞれ調整可能とすることでコーナリング性能を高める、新開発のトルクベクトル付ALL MODE 4×4-iが搭載されるなど、先進的な機能も満載。

 さらに、2014年のマイナーチェンジでは、パーソナラパーソナライゼーションを新設定。これは90通りもの多彩なカラーコンビネーションから、自分の好みの色の組み合わせを選択して自分だけのジュークを作り上げることができるというスペシャルパッケージだ。

 加えて、197万5320円~346万8960円と、幅広い価格レンジも魅力だった。

 正直、すべての面において平均点以上の出来のジュークに売れない要素は見つからない……。ただひとつ難点と言えば、やはり個性全開のエクステリアデザインか? 存在感満点のデザインは日本人には強烈すぎたのかもしれない。

 結果的にジュークはモデルチェンジを一度も行うことなく2019年に生産終了となり、かわりに海外で販売されているキックスが後継モデルとなった。ただし、ジュークは欧州では2代目へと進化を遂げ、継続販売されている。

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