ブガッティ最後の純内燃機関モンスター降臨!! 1600psのシロン・スーパー・スポーツ試乗からわかった「究極のハイパースポーツカーである理由」

■デザインは細部にまでこだわりを見せる

内装には上質なタンレザーとカーボンがふんだんに使われ、黒いエアアウトレットにはチタンが使われている
内装には上質なタンレザーとカーボンがふんだんに使われ、黒いエアアウトレットにはチタンが使われている

 シャトー・ブガッティの前に置かれた長さ4700mm、幅2200mm、高さわずか1200mmのシロンSSは漆黒のボディに包まれており、ドアを取り巻く伝統的アイコンであるCラインと、そこから後方に伸びたリアフェンダーが視覚的にもハイスピードでの安定性を訴えている。

 まずは、アンディのドライブで指定された公道上のテストコースを回る。

 カントリーロード、オートルートを含むおよそ100kmのコースで、アンディは操作系を簡単に説明しただけで、なんとスーパーマーケットの駐車場に停めて選手交代を促す。

 いくらブガッティの故郷とはいえ、ドライバー交代の短い間にあっという間にスマホをこちらに向けた人たちで一杯になる。

 上品なタンレザーとカーボン、剥き出しのアルミに包まれたインテリアは本物の塊で普通ならばプラスチックですませるはずの黒いエアアウトレットはなんとチタン製である。

 好ましいことに表示はアナログでタッチパッドなどは見当たらない。

■ブガッティ史上最も洗練された1台に

 ふつうのクルマと比べて何よりも大きな違いは、目の前にあるスピードメーターでそのスケールは通常の2倍、500km/hまで刻まれている。

 当たり前だが250km/hは、まだ半分の12時位置にしか過ぎない。

 スターターボタンを押すと、予想していた以上に押し殺したようなおとなしいサウンドが低く響いてくる。

 ドライブモードは普通のクルマではスタンダード・セッティングに相当するEBを選択して、スロットルを慎重に踏み込む。1600psのスーパー・スポーツは思ったよりもリニアでジェントルな加速を開始する。

 乗り心地はこれまでに乗ったヴェイロンよりもずっと洗練されていて、路面からのショックの吸収はもちろん、ロードノイズも非常に小さい。

 また、ステアフィールも大幅に改善されており、狭い田舎道のワインディングや交差点でもそのサイズを忘れるほど敏捷な動きをする。

 確かに斜め後方の視界は絶望的だが、走行中は後方から迫ってくるクルマなどないので問題はなく、駐車はバックアップカメラのおかげで難しい作業ではなくなっている。

■比類なき加速力 素晴らしき減速時安定性 驚くべき直進安定性

ブガッティと言えば最高速度に特化したクルマと思われがちだが、今回のシロン・スーパー・スポーツはヴェイロンよりもずっと洗練されたている。乗り心地の向上やロードノイズ低減。内燃機関ならではの加速と減速時の姿勢は極めて安定している
ブガッティと言えば最高速度に特化したクルマと思われがちだが、今回のシロン・スーパー・スポーツはヴェイロンよりもずっと洗練されたている。乗り心地の向上やロードノイズ低減。内燃機関ならではの加速と減速時の姿勢は極めて安定している

 やがてオートルートの空いた直線路に入り、一瞬だが、スーパー・スポーツの片鱗を見るためにスロットルを踏み込む。

 すると、ほんのわずかな躊躇いを見せた後に周囲の景色がSF映画のワープ画面のように強烈に後方へ流れる。

 しかも、それはテスラモデルSやポルシェタイカンなどのBEVとは違って唐突ではなく、息が長い。

 つまり、100km/hまでの数秒は間違いなく遅れを取るが、その先の160km/h、そして200km/hに達するまでには間違いなくシロンのほうが上手だ。

 驚くのはその直進安定性で、ステアリングホイールに軽く手を添えておくだけで、あっという間に人には言えないほどの速度に達した。

 公道上ゆえに即座にブレーキペダルを蹴飛ばすように踏み込むとミシュランパイロットスポーツ・カップ2は素晴らしいグリップで減速性能を発揮し、強烈なG加速度を体験させてくれた。

 もちろん、姿勢は安定しており、補正舵角を当てる必要なく、まっすぐに減速する。

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