日本語で唯一、半濁点(〇)が付くのがハ行だ。パピプペポの音が商品名についたときに、そのモノが売れやすくなるという法則を知っているだろうか。半濁音の法則と言われるこの現象は、クルマの売れ行きも左右している模様。Pで始まるクルマには、どんな人気車があっただろうか。また、なぜPが付くと売れやすくなるのかを考えていきたい。
文:佐々木 亘╱写真:トヨタ、三菱自動車、日産自動車
■マーケティング業界の定説!?「半濁音の法則」とは
経済界、特にマーケティングに関わる人の中で言われ続けている半濁音の法則。音数が5音以下で、半濁音が付いている名前の商品はよく売れるというものである。
確かに世の中のヒット商品を見ていくと、パピプペポが入っていることが多い。お菓子はポッキーやポリンキー、アイスはパピコやピノといった具合だ。
半濁音の言葉は、どこか楽しそうで、発音したくなる。発音して気持ちいい言葉は、聞いても気持ちがいい言葉なのだろう。また、こうした言葉を見るだけでも、人間は脳細胞が活性化され、発音や聞こえたときと同じ反応を示すというのだ。
意味は分からないけど、何だか言ってみたくなる。そんな言葉が入る曲も大ヒットした。鼠先輩の「六本木~GIROPPON~」はポッポポポポポと歌うし、最近ではピコ太郎のペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)でも、Pの付く言葉(ペン・パイナップル・アップル)を連呼する。
Pの付く言葉は、人々の脳裏に深く刻み込まれるのだ。このような人気商品が生まれる流れは、自動車業界にも深く浸透している。
■疾走感と珍しさが詰まったクルマたち
それでは、Pで始まる人気車を見ていこう。
まずはトヨタで真っ先に思いつくのが「プリウス」だろう。1997年に登場したプリウスは、現在5代目。3代目には国民車とも言われる大ヒットを記録し、現在もプリウスの名は深く親しまれている。
また、1990年代後半から2000年代の初めに、トヨタはPで始まるクルマを数多く出してきた。プログレ・プラッツ・プロナード・プレミオといったセダン群を筆頭に、コンパクトカーではポルテ・パッソ、軽自動車のピクシスシリーズが並ぶ。
日産・ホンダは現行車にこそPの付くクルマは無いが、過去にはヒット作が多い。日産ではプレジデントやプリンスロイヤルといった高級セダン、パルサー・プレーリー・パオ・プリメーラ・プレセア・プレサージュといった具合だ。ホンダはプレリュードが代表例だろう。半濁音の持つ力強さや、スピード感が似合うクルマが多い。
他にも、スバルのプレオ、マツダのプレマシー・プロシード・ペルソナ、スズキのパレット、いすゞのピアッツァといった有名車種が揃った。
そしてPで始まるクルマの王様とも言える存在が、三菱のパジェロだろう。アルゼンチン南部に生息する野生の猫を意味するパジェロは、なんと半濁音「パ」と濁音「ジェ」が並んでいる。音数も短く半濁音のヒットの法則を、最もよく表した名前だ。
ここまでPで始まるクルマを挙げてきたが、これだけでもどこか楽しい雰囲気が出ている。車名にPが入るクルマまで間口を広げると、枚挙にいとまがないのでここでは控えるが、スープラ・ステップワゴン・カプチーノなど、馴染みのあるクルマがゴロゴロ出てくる。
半濁音の気持ちよさは、クルマのヒットにも一役買っていることが分かった。
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