ジャスティといえば、ダイハツトールの兄弟車を思い出すかもしれないが、そんなことはない。1984年にデビューした初代ジャスティは、リッターカーでありながら4WDで武装したMTオンリーのタフなホットハッチだったのだ!
文/ベストカーWeb編集部、写真/SUBARU
■登坂路や悪路にも強い異色のコンパクト
1981年、軽自動レックスをFF化したスバル(当時は富士重工)は、レックスから上級移行したい人向けに1Lモデルを開発していた。それが1984年に登場したジャスティだ。
とはいえ、当時のリッターカー市場にはすでにスターレットやマーチ、カルタスやシャレードといったライバルが存在していた。後発のスバルはどうしたか。レオーネが生んだ4WDによる高い走破性のイメージで、他車と差別化を図ったのだ。
実際、ジャスティのタフさは素晴らしい。フロアこそレックスの拡大版だったが、足回りは前後にストラットをおごる4輪独立懸架。ここにリッターカー初の4WDシステムを搭載して、登坂路や悪天候に強い仕様とした。
4WDシステムはパートタイム式だったが、画期的だったのはその切り替え。トランスファーレバーを持たず、シフトレバー先っちょのボタンを押すだけで、2WD<>4WDが切り替えられたのだ。
当初用意されたエンジンはSOHC直3・1LのEF10型で63psを発生。こいつに5MTのみを組み合わせるというスパルタンな構成だった。
しかし当時はターボの普及期にあり、マーチやシャレードもターボで武装しつつあった。そこでジャスティは85年、排気量を1.2Lに拡大したSOHC9バルブ(気筒あたり3バルブ)エンジンを追加し、戦闘力強化を狙う。
この1.2LモデルはNAエンジン搭載のコンパクトカーとしては初となる、前輪ベンチレーテッドディスクを装着したことも話題だった。
■2代目以降は他社のOEMモデルに(泣)
さらにジャスティは、クルマ史に残る偉業を達成する。1987年9月、世界各地で研究されながら実用化されなかった金属ベルト式無断変速機「ECVT」を量産車としては世界で初めて採用したのである。後に普及するCVT式トランスミッションは、スバル ジャスティから始まったのだ。
ジャスティは悪路にも強い稀有なコンパクトカーとして、オーストラリアなどにも輸出されて人気を誇った。ところが当時の富士重工はレガシィがヒットし、リッターカー以上に利益が出る中排気量車の開発(後のインプレッサ)に資源を集中させる必要があった。
一時は後継車として資本関係のあった日産マーチのOEM化も検討されたものの実現せず。結局スバル ジャスティは、2代目が欧州専用のスズキ カルタスOEM、3代目がスイフトOEM、4代目以降はダイハツ車のOEMという変転を繰り返す1台となったのである。
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