昨今、警察のパトカーといえばクラウンばかりという時代になってしまったが、平成時代の半ば頃は、RX-7やR34スカイラインGTターボが交通取り締まり用パトカーに採用されるなど、さまざまな車種のパトカーが誕生した。
こうしたハイパワーなスポーティカーがパトカーになるいっぽう、それまでの常識では考えられなかったジャンルの車種がパトカーとなり、一般ドライバーを仰天させたこともあった。
今回は多くのドライバーが「お前ホントにパトカーか??」とツッコミを入れたくなる、仰天レア&珍パトカーを紹介する。なお、新刊『平成~令和新時代 パトカー30年史』(2020年12月3日発売)では、下記も含めて平成時代に活躍したさまざまなパトカーを収録してある。ご興味ある方はぜひ本記事末尾の刊行情報をご参照ください。
※『平成~令和新時代 パトカー30年史』別冊ベストカー編
写真/編集部、大塚正諭
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■質実剛健時代から百花繚乱時代へ
パトカーといえば、廉価グレードの質実剛健な車種展開というのが、昭和から平成初期の常識だった。事実、平成時代の中頃までは、交通取り締まり用といえば、150系クラウンとY31セドリックが双璧の存在。白黒&覆面ともに、鉄ホイールやフェンダーミラー仕様の車両が多数見られた。特に覆面パトカーに関しては、こうした鉄ホイール&フェンダーミラーは格好の目印であり、よく知られた見分けポイントだったといえる。
例外的に高速隊向けに、R32スカイラインGT-RやGTOといったスポーティな車種が国費で導入されることもあったが、どちらかといえばレアな存在。セダンタイプの地味な車種こそパトカーというのが、この頃の常識だった。そんなドライバーの常識を激変させた車種がいくつかある。
以下、その代表的なパトカーをランキング形式で見ていくことにしよう。
■交パにワゴンを初導入! 驚愕の覆面パト
第1位 NISSANステージア(M35)
「覆面パトカーはセダンタイプ」という常識を完全に覆した一台。デビュー当初からネットで噂になったものの、詳細がはっきりするまで「ありえない」などと否定的な意見が相次いだほど。大阪府警の交機隊に2台が導入され、府内の一般道で活動。あまりの隠密性の高さに、導入当初は捕まる違反車が続出だった。
■ハイソなデートカーがまさかの覆面パトカーに!
第2位 TOYOTAソアラ2.5GT-T
バブル崩壊直後に発売された高級クーペのZ30ソアラ。スペシャルティカーが若者にまだまだ人気だった時代に、覆面パトカーとして登場し、クルマファンをあっと言わせた。国費で20台が導入され、神奈川県警や埼玉県警、大阪府警などの高速隊で活躍した。ゆったりクルージングするソアラに嫉妬し、覆面パトカーと気づかず、ちょっかいを出してしまったドライバーも数しれず……だろう。たぶん。
■オールATの新時代パトカー
第3位 TOYOTAクラウン(170系)
この世代から一気に高級感が増した170系クラウンパトカー。国費モノの白黒パトカーとしては、初めてドアミラーとなった。また国費モノの交通取り締まり用パトカーとして初のAT仕様になったことも驚かされた。覆面仕様の隠密性も一気に高まっている。
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■あのオーテックの限定車が登場!
第4位 NISSAN R33スカイラインGT-R4ドア
国費で全国配備されたR32スカイラインGT-Rに続いて、埼玉県警と神奈川県警では、県費でR33のGT-Rが導入された。なかでもドライバーを驚かせたのは、2ドア仕様のみならず、422台限定のオーテックバージョンまで登場したこと。神奈川県警では白黒パトカーが2台、埼玉県警では覆面パトカーが2台導入された。
■もはや「出会えたら幸運」?? レア度抜群の外車パト
第5位 Mercedes-Benzベンツ300E
出会えたほうがラッキーなくらいにレアな存在だった輸入車の覆面パトカー。大阪府警の300Eは晩年まで比較的稼働率が高かった印象だ。神奈川県警や兵庫県警にも同車が配備されていた。ちなみに警視庁にはベンツ300SEとBMW525iが存在した。当時、高級輸入車と自動車電話アンテナ(TLアンテナ)の組み合わせは、いかにも一般車でありそうな雰囲気であり、隠密性は高かったといえる。