[合成燃料]ってよく聞くけど…実際に[クルマ]に入れたらどうなるの?

■合成燃料が人類の移動の自由を守る

全車ノートラブルで4耐が終了したのも凄い。走行中は燃料の件を意識することなく、いつものレースと変わらなかった。いつもと違ったのはベストカーチームの快進撃のみ!?
全車ノートラブルで4耐が終了したのも凄い。走行中は燃料の件を意識することなく、いつものレースと変わらなかった。いつもと違ったのはベストカーチームの快進撃のみ!?

 動物や植物などの生物由来のエネルギーパックを取り出したものがバイオマスエネルギーである。バイオマスとはズバリ「生物に由来した」という意味だ。

 生物に由来しない方法もある。例えば再生可能エネルギーで発電した電力で、H2Oを電気分解して、H2を取り出す。これが燃料電池車や水素内燃機関に使われる水素燃料である。

 さらに工場などから排出されるCO2に電子をぶつけてCとO2に分離し、この分離されたCをHと化合させると、炭化水素(HC)になる。ガソリンはHとCの化合物なので、地上にもともと存在するH2OとCO2を用いて、合成ガソリンを作ることができる。これがe-fuelだ。

 この場合、エネルギーとしてカスであるH2OとCO2にエネルギーを加えてHCにする作業なので、燃料の持つエネルギーと少なくとも等量の電気エネルギーを加えなければならない。膨大な電気エネルギーを消費するために価格が高い。現在この効率をいかに向上させるかの取り組みの最中である。

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■実際にCN燃料ロードスターを走らせた人の感想を聞いてみよう

中央がベストカーOB大井貴之氏、右が本誌連載陣のプリウス武井こと武井寛史氏
中央がベストカーOB大井貴之氏、右が本誌連載陣のプリウス武井こと武井寛史氏

●「ベストカー×おと週」チーム ドライバー・大井貴之

 燃料として燃やすわけだから温室効果ガスは排出するけど、製造過程で吸収しているから実質ゼロ。カロリーは熱に弱いから揚げ物はゼロカロリーというサンドのネタを連想してしまうCN燃料。ギネス世界記録に認定される大会となったメディア対抗ロードスター4時間耐久レースでは全車がCN燃料を使用。

 レース当日、筑波サーキットの給油所にはCN燃料を供給するタンクローリーが鎮座し、いつもとは違う雰囲気。そのレースでベストカー×おとなの週末チームが優勝できたのは、CN燃料の特性を活かした走りをしたからこそのことなのである。

 と言いたいところだが、レース中の給油も携行缶で普通に給油。ドライバー的には、「言われなかったらわかりませんでした」というのが正直な感想だ。これでOKならまだまだエンジンを楽しめる! 未来は明るい。

●「ベストカー×おと週」チーム ドライバー・武井寛史

 今回初めて使うCN燃料。「どんな燃料だこれ?」とおっかなびっくり……普通に走る! スタートもスムーズだし、アクセル踏めばエンジンがすぐ応えてくれる。全開走行は遠慮していたけど、2速、3速の加速で6000rpmくらいまで回してみても違和感なく、むしろ快適!

 決勝レースでも約50分間走ったけど、何のストレスもなし。日常運転で何時間も走ったら「あれ?」と感じる可能性もあるけど、この日はそんな心配も無用。CN燃料への不信感? もう吹き飛びましたよ。

 とはいえ、個人的にはカーボンニュートラルにはちょっと懐疑的。「地球に優しい燃料です!」って言って、 実はガソリンよりもCO2出してたらどーするよ!? それじゃ「やってる感」だけの環境対策じゃん。くれぐれも「エコ」とか言いながら「エゴ」にならないように、頼むぜ!

●「カー&ドライバー」チーム ドライバー・岡本幸一郎

 おろしたてのニューマシンだから、まだエンジンにアタリがついていないせいで回り方が鈍いという事情もあったと思うけど、やっぱりCN燃料だとアクセルレスポンスや加速の伸びが微妙にガソリンよりも落ちていて遅い感じがしました。

 現に予選タイムも速い人は1分10秒を切っていたのに、今回はベストが11秒半ばだったもんね。実際、2ヘアの立ち上がりでエコランしながら3速でじんわり踏んだ時の車速の乗りがだいぶ違った気がします(あくまで個人の感想です)。

 あとは燃費もいくらか落ちるみたいで、僕らのチームも計算上はなんとか完走できるはずだったのにできなかったのがなによりの証拠です(笑)。

 とはいうものの、もし知らされていなかったらわからないくらい、本当に普通に乗れちゃいますよ。CN燃料だからと構える必要はまったくありません。

*   *   *

 電気自動車一本が難しいことが明らかになった今、マルチパスウェイのなかでe-fuelなどのCN燃料に一定の依存をするしかない。合成燃料の進化がないと、人類は移動の自由を大きく制限されることになるだろう。

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