■ホンダ/ベストセラーは共食いを生む
ホンダの販売店では「N-BOXは売れゆきが好調で、同じホンダのフリードから乗り換えるお客様も多い」という。子育てを終えると3列シートミニバンのフリードは不要になるが、高い天井に慣れるとフィットなどでは窮屈に感じる。
そこで軽自動車でも全高が1700mmを上回り、スライドドアも装着するN-BOXに乗り換えるのだ。価格を売れ筋グレード同士で比べると、N-BOXは60万円近く安いが、安全装備などは同等に備わる。 N-BOXは機能や装備のわりに価格が安く、税金も抑えられるからフリードの需要を食っている。
アコードとインサイトは、両車ともにハイブリッドのi-MMDを搭載する。両車とも登録台数は少ないが、インサイトはアコードよりも設計が新しく、価格は約60万円安い。そのために販売店では「アコードからインサイトに乗り換えるお客様が多い」という。アコードは2020年に一新するまで、インサイトに一方的に食われる状態が続く。
■マツダ/CX-30登場で共食い起こる
今のマツダ車はすべて外観が似ていて、メカニズムもSKYACTIV技術で統一した。車種が違っても商品は似ているから共食いしやすい。
SUVでは新型車のCX-30が CX-3とCX-5の間に設定された。2Lエンジンを積んだ2WDの20Sプロアクティブ同士で価格を比べると、CX-3が247万5000円、CX-30は261万2500円、CX-5は285万4500円。
CX-3は後席と荷室が狭く、発売から4年以上を経るから、家族で使うユーザーは約14万円を加えてもCX-30を選ぶ。つまりCX-3は共食いの餌食になる。
CX-5はボディが大幅に拡大する。CX-3とCX-30の全幅は1800mm以下だが、CX-5は1840mmで全長も長い。ディーゼルの排気量は2.2Lだ。CX-30とはニーズが異なる。
CX-5の価格は、2Lエンジン車同士で比べてCX-30よりも約24万円高いが、ミドルサイズSUVを求めるユーザーにはむしろ割安だろう。CX-30とCX-5は共食いが生じるが、比較的共存しやすい。
■スズキ&ダイハツ/スズキとダイハツ、最大の同門競合は?
スズキの共食いは、イグニスとスイフトだ。プラットフォームはイグニスがベーシックで、スイフトは上級タイプを使う。しかし全長はスイフトが140mm長い程度で、エンジンは両車とも1.2Lが主力だから選択に迷う。
価格も装備内容が互角なマイルドハイブリッドのイグニスMZとスイフトMLを比べると、177万円前後でほぼ同額だ。機能的には乗り心地、走行安定性、内装の質はスイフトが優れ、イグニスよりも買い得になる。それでも両車は選択に迷う対象で共食いが生じる。
ダイハツの共食いはタントとムーヴキャンバスだ。販売店では「スライドドアは欲しいが、タントほど高い天井は必要ないと考えるお客様にムーヴキャンバスが好評だ」という。
確かに恐怖の激しい共食いが生じるだろう。ムーヴキャンバスは背が少し低い代わりに外観を丸みのあるデザインに仕上げ、ストライプスと呼ばれるツートンカラーもオシャレだ。
スライドドアを備えた軽自動車ではあるが、実用重視のタントやN-BOXNとは異なる魅力を備える。タント以外では、全高が同程度で横開きドアを備えるムーヴを食うこともあるだろう。
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