2023年11月から日本で販売が開始されたBMW ミニ カントリーマン。もともとBMW ミニは大好きなクルマだというテリーさん。「技術ではなく感性で作られた、心がウキウキするクルマ」だと心惹かれると同時に、日本車に対しての不満も!?
※本稿は2024年11月のものです
文:テリー伊藤/写真:西尾タクト、BMW
初出:『ベストカー』2024年12月10日号
■多数のバリエーションが時間差で登場するいつものパターン
今回の試乗車はBMW ミニ カントリーマン。これまでミニクロスオーバーと呼ばれていたクルマだが、世界共通のカントリーマンを名乗るようになったという。
2023年11月にカントリーマンが登場し、以降、クーパー3ドア、エースマン(EV専用車)、クーパー5ドア、ジョンクーパーワークスなど立て続けに新型ミニがデビュー。
バリエーションが多く、しかも時間差で登場してくるから複雑なのは相変わらずだが、もともとBMW ミニは大好きなクルマ。新型になってどう変わったのか興味津々の試乗となった。
独特のミニワールドは健在である。特に内装が面白い。インパネ中央に大型円形ディズプレイが鎮座しており、そこに情報を集約。速度計など頻繁に見るものは運転席前のヘッドアップディスプレイに表示されるからメーターパネルはない。
中央に丸いメーターを置くのは初代ミニからの伝統で、BMWになってもこの伝統を大事にし続けているのが嬉しい。
しかも、ただ伝統を守るだけでなく、時代に合わせてアップデートしているのが素晴らしい。メーター表示を変えられたり、可愛いイヌのキャラクターがいたり、ディスプレイがエンターテイメントになっているのだ。
音声操作をメインにしているように思えるのだが、その音声が伝わりにくく、結局スイッチを探して操作することも時々あった。
つまり使いやすいとは言えないのだが、ここまでエンタメ性を追求しているならそれも許せる。若い世代はその苦労も逆に面白がっているだろうし、年配者だって、何度も使って経験を積めば対応できるようになるだろう。少しくらい不便でも、新しさを重視するという姿勢が鮮明なのだ。
【画像ギャラリー】日本車はまた差をつけられた!? ミニ クロスオーバーから生まれ変わったBMW ミニ カントリーマン(30枚)画像ギャラリー■想像するだけでウキウキしてくる!
1959年に誕生した初代ミニは歴史に残る名車である。21世紀になってBMW ミニが誕生したが、もしも、あのままイギリスのメーカーが作り続けていたら、今頃どうなっていたのかとよく想像する。そして、その答えはいつも「今のように成功していないだろうな」となる。
将棋は観戦者のほうが戦況を読みやすく、いい手も思いつくと言われる。もしかしたら、ミニも同じではないかと思うのだ。ドイツのBMWという外からミニを見ているほうが、より強く魅力を感じられ、ミニに対するオマージュも深くなるのではないか。
走りに関しては、ベースがBMW X1だということもあって文句なしだった。今回乗ったのは2Lガソリンターボ車で、ほかにディーゼルターボもEVもあるが、おそらくどれに乗ってもレベルの高い走りが楽しめるだろう。BMWの走りに対する信頼感は揺るぎないものがある。
個人的には角目のカントリーマンより丸目のクーパーが好みだが、ちょっとディフェンダーっぽい雰囲気もあるカントリーマンも楽しい。
田舎道を走っている姿とポップな音楽がよく似合いそうだし、家族で仲よくドライブしているシーンを想像するだけでウキウキしてくる。このクルマがガレージにある家は、なぜか幸せそうに見える。
こういうクルマを作るのに大切なのは技術ではなく感性だろう。日本車は軽自動車なら大胆なチャレンジができるのに、登録車になると急に鳴りを潜める。それが不思議だし、残念でしかたない。
日本のメーカーだってできないわけではない。優れた才能、感性を持つ人は数多くいるはずなのだ。問題は上層部が大胆な発想や提案を認めるかどうかなのである。BMWミニのような「楽しげな日本車」をぜひ見せてほしいものである。
●BMW ミニカントリーマンS ALL4 566万円(7AT)
2023年11月に日本発売。旧クロスオーバーでBMWミニのSUVタイプとして3代目となる。ボディサイズは全長4445×全幅1845×全高1660mm、ホイールベース2690mm、車重1640kg。
今回試乗した直4、2Lガソリンターボは204ps/30.6kgmで、WLTCモード燃費は13.1km/Lとなっている。直径24cmの円形ディスプレイに情報を集約している。
【画像ギャラリー】日本車はまた差をつけられた!? ミニ クロスオーバーから生まれ変わったBMW ミニ カントリーマン(30枚)画像ギャラリー
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