ひとつのクルマについて、人により異なる評価があるのは当然だ。しかし「全員高評価」という現象もなくはない。ここでは2024年10月にマイナーチェンジを受けて登場した三菱 アウトランダーPHEVを3人の自動車評論家に評価していただいた。
※本稿は2024年11月のものです
文:西村直人、岡本幸一郎、竹岡圭/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年12月26日号
■フルモデルチェンジに匹敵する大進化!
2024年10月9日にマイナーチェンジを受け、新型となったアウトランダーPHEV。エクステリアから感じ取れる変化はわずかにとどまるが、その内容はマイナーチェンジとは信じられないレベルのもの。
特にモーターやバッテリーの進化が著しく、モーターの出力性能は従来比で約40%アップ、航続距離も83kmから102km(Mグレード除く)と大幅に伸びている。
発売の直前、プロトタイプによるサーキット試乗の機会が設けられた。その際のレビューは本誌11月10日号で国沢光宏氏が担当。パワートレーンの大幅な進化や乗り味の質感アップについて、率直な驚きをレポートした。
今回評価を依頼した3人は西村直人氏、岡本幸一郎氏、竹岡圭氏だ。
●アウトランダーPHEV Pエグゼクティブパッケージ(7人乗り)
・全長×全幅×全高:4720×1860×1750mm
・ホイールベース:2705mm
・車両重量:2180kg
・パワーユニット:直4、2.4L・PHEV
・エンジン最大出力/最大トルク:133ps/19.9kgm
・モーター最高出力(F/R):116ps/136ps
・モーター最大トルク(F/R):26.0kgm/19.9kgm
・WLTCモード燃費:17.9km/L
・価格:668万5800円
■西村直人氏の評価「回頭性能は体感120%アップ! 単に速くなっただけじゃない!!」
走行性能、劇変! 要因のひとつが新型二次バッテリーの搭載だ。「サクラ/ekクロスEV」用をアレンジしていた従来型から、PHEV向けとして優れた電力の入出力特性をもつ専用タイプに変更。
具体的には容量を10%増やし出力を60%向上。結果、システム出力は約20%アップの300PS中盤へ。シリーズ最大の車両重量は2180kgだが、それが10%軽くなったイメージでどこからでも加速する。
単に速くなっただけじゃない。サスペンションのスプリングレートを上げ、ダンパーのバルブも合わせて変更し、カーブ走行時の一体感を高めた。中立付近があいまい(≒軽め)だった電動パワーステアリングのアシスト特性を改良してシッカリ感も強調。切り込んでいった先の応答性能も高まった。
個人的な従来型のイメージは「曲がる電動SUVへの意識が高めでヒラヒラ特化型ハンドリング特性」だった。急カーブでは鼻先がグッと一気に入り込むS-AWC設定なので、向き変えがやや過敏というユーザー意見もあったという。
新型はじんわり動き出してから車体全体がスムースに連続可変的な動きを示す。車格相応でじつに上質だ。体感値ながら、初期ヨーレートを85%に抑えつつ、車体全体での回頭性能は安定感が増したことで120%へ拡大したと感じた。
●POINT採点チェック
・ハンドリング:9点
・加速性能:8点
・4WD性能:10点
・静粛性:9.5点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:7.5点
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