世界の「超」が付く富豪のためのために作られた、極めて特別なグレード、仕様のクルマ。発見されると話題になるため、聞いたことがある人も多いだろう。そしてまた1台のユニークかつ貴重なGクラスが発見された。63なのにV12エンジンを積んだGクラスである。
文・写真:古賀貴司(自動車王国)
【画像ギャラリー】うわ、ホントにV12積んでる!! AMGが作った5台だけのGクラス衝撃の姿がコレ(5枚)画像ギャラリー■特別な顧客にだけ打診された5台のG63
メルセデス・ベンツAMGの「63」バッジは、本来6.2L V8エンジンを表している。しかし、2001年に極秘裏に製作された特別な個体は、V8エンジンではなく 、“G63”なのにV12エンジンを搭載していた。
AMGは当時、この特別なG63をわずか5台だけ製作したそうだ(日本でも販売されたV12エンジン搭載のGクラスはG 65で、別のSOHCエンジンが積まれていた)。
さて、このV12エンジン搭載のG63は一般販売はおろか、その存在すら公にせず、モーターショーにさえ出品しなかった。なんでも、特別な顧客のみに購入を打診したそうだ。
■見た目は完全にV8、でも中身はV12
そして2024年12月1日にRM/サザビーズのオークションに出品された1台はドバイのディーラー、ガルガッシュ・メルセデス・ベンツを通じて2001年10月10日に納車され、2023年まで同国王族の公用車として使用された伝説の「1」ナンバープレートを付けていた車両である。
エクステリアは一見、当時のG63と変わらない。何も知らずにAピラー下部に配されている「V12」のバッジを見たなら“バッジチューン”を疑ってしまうだろう。5スポークの18インチ軽合金ホイールは、今となっては随分小さく、タイヤが分厚く見える。
グレーレザーが奢られたインテリアも、当時のG63と大差ない。電動スライディングルーフ、TVチューナー、CDチェンジャー、ノキア製ハンズフリーシステム、シートヒーター、パーキングアシストなど一応、当時の最新装備を網羅しているが、基本は当時のG63と大差ない。
面白いことにシフトノブには「V8」のロゴがあしらわれている。しかし、ボンネット開ければ、鎮座しているのはV12エンジン。5速ATと組み合わされた6.3リッターV12エンジンは、最高出力約440馬力を発揮する。
【画像ギャラリー】うわ、ホントにV12積んでる!! AMGが作った5台だけのGクラス衝撃の姿がコレ(5枚)画像ギャラリー■果たして残りの4台はどこにあるのか?
走行距離はわずか4万4509㎞で、王族車両としては“走っている”部類に入りそうだ。
AMG史上最も謎めいたモデルの一つとされるV12搭載G63。その中でも、20年にわたりドバイ王族の座駆として使用された「ナンバー1」の出現は、ハーレー彗星のような存在だ。
次回エンジンオイル交換を示すステッカーには「Dubai-Government Workshop」(ドバイ政府整備工場)と記されていて、特別感が漂う。
RM/サザビーズでは予想落札価格35万~40万ドルと見積もっていたが、39万8750ドルで落札された。残りの4台の行方が気になるところだ。
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