1960年代、トヨタ コロナと販売競争を繰り広げていた日産 ブルーバード。2代目の410は販売数が伸びず遅れをとっていたが、1967年、先進のメカニズムとシャープなスタイリングを備えた3代目の510が登場し、コロナに勝負を挑んだ。
※本稿は2025年11月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年12月10日号
スタイリッシュなデザインに加えラリーでも活躍した高性能車
3代目となる510ブルーバードが登場したのは1967年。先代の410から3年11ヶ月での登場であった。
当時の日産は全クラスでトヨタと販売合戦を繰り広げ、ブルーバードはコロナと真っ向勝負を展開していた。
510ブルーバードはコロナを徹底研究し、当時のファミリーカークラスのレベルを超えた新開発のSOHCエンジン、4輪独立懸架など先進のメカニズムを採用。デザイン面においても、超音速旅客機のSSTをイメージした「スーパーソニックライン」で、スピード感を訴求した。
発売当初のバリエーションは、2ドア/4ドアセダン、5ドアワゴン/バン。エンジンは新開発したL型4気筒SOHCで、1.3Lと1.6Lの排気量。出力は、72psと100psであった。グレードはスタンダード、デラックス、ワゴンが共通で、1.6Lにのみ最も高性能な1600SSSがラインナップされた。
1970年には、1600SSSが第18回東アフリカ・サファリラリーに出場し、総合優勝を果たす。その性能の高さを世界中にアピールし、「SSS」はブルーバードの代名詞として後継モデルにも受け継がれた。
また、ヨーロッパや北米市場では「ダットサン510」として販売され、ベストセラーを記録した初めての日本車となった。
なお、発売の翌年には早くもマイナーチェンジが行われ、クーペボディや新グレードの「スポーツ」を設定。さらに1970年には1.3Lを1.4Lに拡大、1.8Lモデルも投入し、激戦の小型車クラスの馬力競争にしっかり対応している。
こうした販売戦力が功を奏し、510ブルーバードは約5年の生産期間に世界で155万台以上も販売される大ヒット作となった。
モータースポーツでの実績に加え、販売面でも伝説的な数字を残した510ブルーバードは、国産車史上まれに見る名車と言える。
●ダットサン ブルーバード 1600 SSS クーペ(KP510)主要諸元
・全長×全幅×全高:4120×1560×1395mm
・ホイールベース:2420mm
・トレッド前/後:1270/1280mm
・最低地上高:210mm
・室内長×幅×高:1635×1270×1115mm
・車両重量:935kg
・乗車定員:5名
・最高速度:165km/h
・登坂能力:sinθ0.479
・最小回転半径:4.8m
・エンジン型式:L16型
・エンジン種類:水冷直列4気筒SOHC
・総排気量:1595cc
・ボア×ストローク:83×73.7mm
・圧縮比:9.5:1
・最高出力:100ps/6000rpm
・最大トルク:13.5kgm/4000rpm
・燃料供給装置:SU型ツインキャブレター
・変速比:1速3.657/2速2.177/3速1.419/4速1.000/後退3.638
・最終減速比:3.900
・燃料タンク容量:46L
・ステアリング形式:リサーキュレーティングボール
・サスペンション前/後:独立懸架ストラット/独立懸架セミトレーリング
・ブレーキ前/後:ディスク/リーディングトレーリング
・タイヤ:前後とも5.60-13 4PR
・発売当時価格:76.3万円




















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