ちょっぴりかわいそう!? [ホンダe]はデビュー前に脚光を浴びすぎてしまった問題

ちょっぴりかわいそう!? [ホンダe]はデビュー前に脚光を浴びすぎてしまった問題

 発表されたタイミングで話題となり、発売以降も注目を集める新車があれば、発売後は日の目を浴びないまま、ひっそりと姿を消してしまうクルマもある。2020年にデビューしたホンダeは、その典型例。ちょっとかわいそうだけど、彼が残してくれたモノは偉大だったんじゃない!?

文・写真:ベストカーWeb編集部

2020年に販売を開始したホンダe
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■ホンダeの存在を忘れないで!!

2020年に販売を開始したホンダe
2020年に販売を開始したホンダe

 2025年がはじまって早々、ホンダの気合は十分だった。アメリカ・ラスベガスで開催されたCES2025の会場で、グローバル市場への投入を開始するEV「ホンダ 0シリーズ」の2台のプロトタイプを世界初公開し、注目を集めたからである。

 2台の名称は「ホンダ 0 SALOON」と「ホンダ 0 SUV」。前者はスポーティテイスト、後者は中型SUVで、2台とも2026年に北米から展開をスタート。その後、日本市場へも導入される予定だ。

 今後はホンダ0シリーズが、ホンダのEVモデルを担う存在になっていくわけだが、入れ替わる形でひっそりと姿を消した1台がある。その名もホンダeだ。

 ホンダeはホンダの量産型初となるEVで、2020年にデビュー。ジュネーブやフランクフルト、そして東京と、各国で開催されたモーターショーでお披露目したコンセプトモデルを、ほぼそのままの状態で市販化して話題を呼んだ1台である。

 外観デザインは、全体的に丸みを帯びた柔らかな曲線を多用。また、丸目のヘッドライトを配置するフロントフェイスは実に愛らしく、初代「シビック」を彷彿とさせている。

 全体的にはレトロモダンで親しみやすい一方で、近未来からやって来たかのような先進性が感じ取れるのもポイント。過去と未来をつなぐ架け橋のような存在に仕上げられていたのだ。

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■中身もすべてが新時代!!

世界初の5スクリーンを水平配置したインストルメントパネル
世界初の5スクリーンを水平配置したインストルメントパネル

 ホンダeの驚くべきところは、内装も同様。いやいや、内装の方がもっとすごいかもしれない!! なぜなら先進的な室内空間を目指して、5つのスクリーンを水平に配置した世界初のワイドビジョンインストルメントパネルを採用しているからである。

 特に違和感の少ない後方視界を、昼夜天候を問わず映し出すサイドカメラミラーシステムの使い勝手は非常に良好。左右にはサイドミラーが付いて当然といった、これまでのクルマの常識を覆すコンセプトには脱帽だった。

 このように、ホンダeには新しい仕掛けが満載で、コンセプトモデルの段階から大注目の的に。正式デビューを心待ちにする声が溢れて返っていた。

 ところが、都市型シティーコミューターがコンセプトだったゆえに、航続距離は300km弱程度。その一方で価格は450万円と、他社のEVと比較すると航続距離の割には高い価格設定だった。

 そのため日本での年間販売台数は1000台と控えめだったが、その目標を達成することが叶わず、販売不振を理由に2024年限りで姿を消してしまった。販売前は脚光を浴びたが、発売後にサクセスストーリーを作ることはできなかったのだ。

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■ホンダeが残してくれたモノ

CES2025で発表された、ホンダ 0 SALOONとホンダ 0 SUV
CES2025で発表された、ホンダ 0 SALOONとホンダ 0 SUV

 レトロモダンなデザインは、年配層や若年層から高い評価を得ていたことは間違いない。走りもスポーティテイストで、ホンダ好きにはたまらない完成度だったと言える。

 しかし、シティコミューターやセカンドカーとして考えた時に、価格が見合っていなかった。また、充電気をはじめとするインフラが日本で整っていなかったのも、ホンダeにとっては、厳しすぎる条件だった。

 もしEVだけでなく、ガソリンモデルがあったら。たらればを言っても仕方がないのだが、扱いやすいボディサイズとデザイン性の高さを考えると、需要があったのではないだろうか。それこそe:HEVモデルがあったら、爽快感マックスに仕上がっていたと思う。

 販売を終了してしまったイマ、妄想話をしても仕方がないのかもしれない。だけど、ホンダeが残してくれたデザインやコンセプトを無駄にしないでほしい。

 ホンダ0シリーズのどこかに、培った魂を受け継ぎ販売台数を伸ばす。そのカタチこそ、ホンダeがシアワセに感じる証なのではなかろうか。

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