助手席側に大型の電動スライドドアを搭載したポルテ。小さいクルマながら、福祉車両のベースとしても活躍したポルテは、プチバンという言葉を作り出すほどに画期的な存在だった。販売チャネルであったトヨタ・トヨペット店にも大きな影響を与えた、ポルテの功績を振り返っていきたい。
文:佐々木 亘/写真:トヨタ
【画像ギャラリー】デカすぎスライドドアが超便利!! 画期的アイデアのポルテをギャラリーでチェック(13枚)画像ギャラリー20年前に生まれた新しいクルマ
初代ポルテが登場したのは、今から21年前の2004年のこと。コンセプトワードになったのは「WALK IN SMART」。大きいドアから、くらしは変わるという意である。ポルテは、斬新な発想と感覚で生み出された、アイディアカーだ。
助手席側には大きな1枚の電動スライドドアが用意され、低くフラットなフロアが抜群の乗り降りのしやすさを実現していた。ミニバンと同等の室内高や、大型セダンと同等の前後席間の距離を、4mを切るボディ全長(3,990mm)で実現している。今見ても画期的なパッケージングだ。
クルマの持っていた当たり前をことごとく覆し、見たことのないことを当たり前にしてしまう。クルマの可能性を大きく広げたのが、ポルテなのである。
【画像ギャラリー】デカすぎスライドドアが超便利!! 画期的アイデアのポルテをギャラリーでチェック(13枚)画像ギャラリーお肌に優しいシートを採用?
ポルテが目指したのは、家のリビングでくつろぐような居心地のよさだった。
車室内は明るい色でまとめられ、収納が豊富である。スライドドア後方に位置するBピラー部分には、アンブレラホルダーまで備わっているから、ポルテの室内で置き場所に困るものなどほとんどない。
シートアレンジも豊富だった。助手席シートが大きく前後スライドし、シート自体にシートベルトが付いてくるため、その自由度はミニバンのキャプテンシートと同等。しかも助手席シートは背面が90度曲がり収納される。シートバックにはテーブルまで用意されてるこだわりようだ。
また、忘れられがちだが、ポルテは後席の動きも豊富である。座面を跳ね上げることも、シート背面を折りたたむこともでき、積み込むモノによって大きく形を変えることができるのだ。また、これだけのギミックが備わりながら、シート自体の座り心地も良い。
さらにシート表面には、繭に含まれている人にやさしい天然タンパク質のセリシンを使用した、フレシール加工を採用した。敏感な肌の人にも優しいシートという心遣いが、なんともポルテらしい。
【画像ギャラリー】デカすぎスライドドアが超便利!! 画期的アイデアのポルテをギャラリーでチェック(13枚)画像ギャラリートヨタ・トヨペット店の客層を大きく変化させたポルテ
ポルテは2021年に販売を終えるわけだが、トヨタ販売店に与えた影響は大きかったと筆者は思う。特に、初代から取り扱いのあったトヨタ店とトヨペット店では、ポルテによって販売客層が大きく広がった。
クラウン・マークX、ランクルにハリアーなど、お世辞にも若い人向けとは言えない取り扱い車種が多かった両チャネル。そこへポルテは小さくて安価という新しい価値を提供し、女性や若年層のお客様を増やしている。
売り手側にも、ポルテはオールマイティで売りやすいクルマだった。「安くて運転しやすくて、広くて快適なクルマ」という、結構な無理難題を言われても、ポルテが何とかしてくれる。クルマが買いたいけれど車種が決まらないというお客様には、ポルテを勧めると上手く話がまとまることが多かった。
なんか変なクルマだけど、使ってみるとしっくりくる。技術者のアイディアを凝縮させてカタチにしたポルテのようなクルマが、ポルテ登場から四半世紀を過ぎたころ(2029年頃か?)にまた誕生するのを期待したい。
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